nyaro さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
24年8月 描写が情緒的すぎて登場人物の存在感が薄く過去が妄想できない。
24年8月 描写が情緒的すぎて登場人物の存在感が薄く過去が妄想できない。
「サマーウォーズ」は何度も見直しているのに、本作は多分今回で3回目くらいだと思います。SF的な仕掛けが弱いというのもあるんですけど、結局、真琴と千昭の間の心の交流の描写に何か納得感がないというか、青春ものとしてラブストーリーの出来がそうでもないというか…
千昭と功介が繰り返しの過程でそれぞれ別の女性を選んだというのもあります。まあ、ここは高瀬がどんどん不幸になってゆく過程と対になって、テーマ的に青春の不可逆性とか、タイムリープの身勝手さとかあるので、そこはIFの中で真琴が自分を見つめなおすために必要だったともいえるかもしれません。
ですが、だからと言って3人の青春に素直に乗っかれないんですよね。バックグラウンドの描写が弱いせいかもしれません。3人が「野球」をやるまでの過去を妄想すればいいんでしょうけど、その妄想が何か上手く働かないんですよね。それはやっぱりキャラ描写が薄いからかなあ、という気はします。描写というか存在感ですよね。タイムリープのせいもありますけど、3人の生活感とか感情が迫ってこない気がします。
単純でもいいので、もっと人間が描かれていればなあという気がします。その点では「サマーウォーズ」の人物も実は描写が濃くはないんですけど、不思議なことに、あの主人公には乗っかれるんですよね。周囲のサブキャラが分厚いせいかもしれませんし、世界観がきっちりしているからかもしれません。
対して本作は情緒的なのはものすごい情緒的です。ですので、理屈をこねなければ本作の方が優れているという評価もわからなくはないです。
それと絵ですよね。以前見たときはそこにちょっと感心したんですけど、今回見ると、ちょっと良くわからなくなりました。未来の状況を暗示しているのだとは思いますが。
ということで4.1という評価は変えませんが、主観的な印象はやっぱり面白さはほどほどかな、と。ヒロインの性格もちょっとデフォルメがキツイので感情が乗っかりづらいし。
21年6月のレビュー
タイムリープは、いい目を見ている分、悪い目にあっている人がいる。
{netabare} キービジュアル(あの空を飛んでるやつ)そのままの話で笑いました。飛んでましたね。ヒロイン。とにかく走って飛んで転がってました。究極の事故体質少女でした。
男男女の関係が続けたかった、というわけでもないんでしょうね。ヒロインはそれぞれの男に告白した女の子たちが上手く行くように時間を遡ります。
2人の男はもともとヒロインが好きだったのに、結果的にそれぞれの男は一回ヒロインとは違う他の女の子と付き合いますので、ここの解釈は難しいところでした。
友達でいたいという気持ちと好きという気持ちのジレンマがそれともあったんでしょうか。ジレンマはなさそうです。告白されて躊躇なく時を戻していました。
最後の未来から来た男との別れも、この展開があったので、???となりました。あの時点まで戻ったから、結果こうなったわけで、戻りかた次第では別の女の子とつきあって、ひょっとしたら絵を見て未来に帰ったわけですから。
ですので、ヒロインが素直な気持ちになれて良かった、とはちょっと思えないですね。人の気持ちをよく聞かないでなかったことにした、という反省はわかりますが。
青春というのは、いろんな分岐の上を、運とかタイミングとか偶然とかそういうものの上を綱渡りで、過ごしているんだ、ということでしょうか。だから気持ちに素直になれと。
そして、タイムリープ。ヒロインがいい目を見ている分、悪い目にあっている人がいる。至言ですよね。私がタイムリープものを好きになれない理由です。このアニメに主張があるとすれば、これでしょう。
あの天ぷらの男の事件が象徴していますが、ちょっとドジを踏んだことをなかったことにするだけで、他の女の子が怪我をして、下手をすれば一人の人生を台無しにしてしまった。
男とその彼女が電車に突っ込んで死んでしまった。
タイムリープで人間関係をコントロールしようとして、人の気持ちを弄んだ結果自分も傷つく。
全体的に、つまり、と結ぶには少し言いたい事が分かりづらくもあります。あの未来から来た男がいなければ3人の関係もなかったわけです。また、ヒロインは電車に突っ込んで死んでおしまい、という人生だったということでしょうか。
あの修復していた絵の話は何が言いたいんでしょうね。時間は巻き戻せないから、ひどい未来をちゃんと予想して、私たちもきちんとしましょう、なのか、ひどい時代でも優しい気持ちを忘れずにいましょうなのか。それともあの絵によって、未来でまた会えるという意味なのか。絵の題材から言って、恋人ではなく本当は親子とか?
結局、起こった事件はちょっとおバカで事故体質のヒロインに振りかかかったエピソード以上のものではない、何が言いたいかを考えても答えはでないと思います。寓話的な何かは入れていないということでしょう。
本編の時かけのヒロインだった叔母さんも結局は青春時代の思い出で終わったみたいですし(記憶を消されて実際は好きでもない人と付き合ったから、うまくいかなかったともとれますが)。
その叔母さんが軽ーくタイムリープしちゃえば、みたいにいっています。高校時代の夏の前の一番いい時間。誰にでもあるちょっと不思議な甘酸っぱいエピソードだ、ということでいいでしょう。
青春アニメとして、ヒロインの大騒ぎを楽しみましょう。{/netabare}