IRON さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
【ネタバレ×】真っ白な状態で見てほしい作品
原作を読んだ。
【書いておいてなんだが、ぜひネタバレ無しで見て頂きたい】
原作再現度高。原作をスッキリキッチリ過不足無くまとめてある。
声優もフィットしている。作画も良好。
学校の催しで近所の惑星にキャンプに来たが、正体不明の現象に遭遇、5000光年離れた宇宙空間にいきなり放り出されてしまう。そして彼らの地球への帰還の旅が始まった。
宇宙空間のシーンは映画ゼロ・グラビティやインターステラーを想起させる。その後地球に似た環境の星を探し、そこで補給を行いながら旅を続ける。最初はよそよそしいグループメンバー達も、いくつもの困難を打破していく内に固い絆で結ばれる。メンバー達は一人一人が家庭環境等に問題を抱えており、遭難という状況もヘビーなのだが、明るく振る舞う彼らは青春物語感もあって楽しい。そして彼らが遭難し漂流する事になった理由が明らかになっていく。
表題「彼方のアストラ」とは…?
{netabare}
彼らは終盤で合流する一人を除き、全員がクローン人間である。
王族・政治家・実業家・医師・芸術家・アスリートなど、上流階級の人間達が将来的に乗り換えるための予備ボディとして製造された。
しかしクローン禁止法が成立し、クローン製造は重罪となったため、不幸な事故を装って宇宙空間に廃棄された。
仲間の一人は全てを承知の上、自分もろとも全員を始末するために同行している。不可解な転移現象は彼の持つ装置によるもの。
彼らが帰還しようとしているのは地球ではなく、惑星アストラ。地球は遥か昔に小惑星落下による寒冷化で廃棄され、人間の現在の母星はアストラである。終盤、ポリーナが「あれは地球ではない!」と言った時、
カナタが素の顔で「地球って何だ?」と問うシーンはゾクッとする。
宇宙で100年以上コールドスリープしていたポリーナによって、彼らは人類史の歪曲と闇を知る事になる。
「彼方のアストラ」というタイトルは、幾重にも洒落になっていてとても良い。
{/netabare}