えたんだーる さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
いま、我々はまさに「アナログハック」に遭っている!
……と勢い込んで言ってみたところで、たぶんアニメーション自体の出来は結構良くて「何か観て良かったな」的な感想に落ち着きがちな気はします。実際それで最終話まで完走しましたし、各話ともわりと面白く観ていました。でもたぶん、日頃「AI」とかあんまり聞かないし気にしていない人向けという気はとてもします。
「アナログハック」というのは別作品『BEATLESS』に出てくる概念で、ざっくりいうと「人間と同じ姿形を持つ人型ロボットの行動に対して、人間は勝手に「意味」を付随させてしまい、心があると錯覚してしまうことを利用して人間を騙す」みたいな仕組みですね。
作中で Vivy はテーマパークの舞台で歌い人間に聴かせる女性型ロボットなので「アナログハック」を行うことにはその目的とするところからの必然性はありました。「心を込める」とはアナログハックを上手に行うことだ、とか言ってしまうと身も蓋もありません。
AI(Artificial Intelligence: 人工知能)の研究は始まりこそ「人間そっくりの受け答えをするコンピュータ・プログラムを作る」というところにありましたが、現在の主流はエキスパートシステムの延長上にある「問題解決の手法」として研究されています。
人間とAIが対立するには、まず人間側がAIに対して「社会の効率的な維持」を目的として設定しそれをAIに委ねるというプロセスが必要だと考えますが、本作の劇中ではその辺りの描き方が弱かったなと思います。
とはいえ Vivy もマツモトも作中では頑張っていましたし、「妹」たちも各エピソードで活躍していましたし、OP主題歌も含めて Vivy の歌はけっこう良かったんじゃないでしょうか。
ところで本作中で、AI研究者的な意味でのシンギュラリティ(技術的特異点)は100年の間のいったいいつだったんだろう?
余談: 某作品に出てくるスペースコロニーに良く似た外形の宇宙船「サンライズ」を地球に落とすのはやり過ぎ(笑)。
(地上に落下するカットの構図が丸パクリでしたしね…。)