m さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
心に刻まれる作品
歌でみんなを幸せにする。そのために、心を込めて歌う。
歌、みんな、心、幸せ。定義できないあいまいな概念を初の歌唱AIに託した、という設定。
AIを人間の代わりにすると演算したアーカイブだが、演算と人間の思考にどれだけの差異があるのか。人間なら心とは何か、幼いころからなんとなく感じ、知った気になって育つ。AIはそれができないのか?AIたちに与えられた使命と、1人1人の人間が譲れないもの、との差は何か?
人間があたりまえにしている概念が、このアニメにより再定義を余儀なくされる。
100年の旅を13話で、というのは正直駆け足だと思ったけれど、13話を見て納得した。これは、Vivyの記憶なのだと。この長さであるべきなのだ、と。
初めは単なる論理的な矛盾だったかもしれない。しかし、13話で額を突き合わせ冗談を言ったことが、過去のあのシーンで感じ取った「心」の表出以外に何といえようか。
「心を込める」というのがわからなくなり、歌えなくなったVivy。「迷いが生まれたままでは歌えない」と言ったDiva。作中では「心をこめる」ことを「思い出とともに歌うこと」だとまとめたが、私は、それは「過去から影響を受けてきた今の自分を全てぶつけること」に近いのではないかと考えている。そしてその姿が、相手の心を震わせる。
主題歌「Sing my pleasure」の落ちサビ、「もっともっともっと」の部分。どうしてそんな子供じみた表現なのか。
言葉に込められた心について、気づきを与えてくれる素晴らしいアニメでした。生きることは素晴らしいって讃歌響いている、そう感じさせる作品でした。AIと人、思考回路は微妙に違うかもしれないけれど、両者が幸せを感じれる世界を作れたらな。
製作者の皆様、記憶に残る作品をありがとうございました。