nyaro さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
涼宮ハルヒシリーズの真の主役は長門有希
使命によって行動が規制されている無感動・無感情のはずの存在が、日々の生活の中で近くにいる人に恋愛感情を持ってしまい暴走する。こう聞くとAIアンドロイドみたいですが、長門有希ですね。
長門有希の力は、世界を改変できるはずの涼宮ハルヒの力を上回り、切なくも可愛らしい世界に作り変えてしまいます。
その世界では、ハルヒもミクルも古泉も仲間ではありません。ただ、キョンと2人だけの世界です。それが長門の望む世界。朝倉が近くにいたのは、もともと長門は朝倉とは近い存在だったからでしょうか。
でも、思いがけずハルヒもミクルも古泉も近くにいました。自分の使命ゆえの理性なのか、結局ハルヒの力は超えられないということなのか。
違うでしょうね。キョンの本当の気持ちを確かめたかったんでしょう。つまり、これは長門からキョンへの告白です。その返事を聞くために、あるいは本当にキョンの事が好きだからキョンの気持ちにゆだねた、ということでしょう。
涼宮ハルヒシリーズは、初めの憂鬱こそ、ハルヒの内面もほんのちょっと垣間見られますが、それ以降のハルヒは、ほとんど舞台設定というかスーパーモブというか、そういう存在になります。キョンと心を通わせるのは、長門です。少なくとも、私は長門にとってのハッピーエンドをいつも夢見ています。もちろん、無理でしょうが。そう。読者が感情移入して応援したくなるのは、長門有希。つまり彼女が主役なのです。
その恋愛感情は、まるで初恋をした中学生のように甘酸っぱく初々しく、そして、うまくいかないという悲しみの予感がします。
タイムリープと時間凍結を使った因果関係のもつれを上手く構成して、SFとしても上質ですが、恋愛ものとしてこんなに切ない話もちょっとないですよね。
美しい作画で魅せてくれる、ヒロイン長門有希の恋愛ストーリー。最高でした。
追記 ネタバレの指摘があったみたいなので…内容は変えてません。