nyaro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
プラネタリウムはいかがでしょう、って泣くから。
「プラネタリウムはいかがでしょう」
いつもならSF設定のレビューを書くところですが、駄目です。そんなこと全く考えられません。
プラネタリウムを見てもらうという使命を与えられたロボット、ほしのゆめみ。高度な感情表現や判断ができる性能ではありません。星を見て人に喜んでほしい、幸せになって欲しい。いつもそれだけを考えています。
でも、人がいなくなってしまった世界に残され、人が2度とこないことを理解しながらも、でも、最後まで人が来ることを信じて、クズ屋に会えました。(壊れてるっていう言葉が、最後にもう…)
生きることにしか関心を示さないクズ屋は、たった数日の出会いで、生き方を変えました。ほしのゆめみのように人に星を見るすばらしさを伝えるために、世界を渡り歩く。ほしのゆめみの記憶を胸に。
ほしのゆめみが最後に与えた感動が、語り継がれていく。
ほしのゆめみは、神さまを知り、天国を知りました。たぶん感情も芽生えたのでしょう。最期に何を想いながら逝ったんでしょうか。
クズ屋は、滅びゆく世界の中でもいつか、ほしのゆめみに会えることを信じていたんでしょう。メモリーカードを大切に持ち歩きます。そして、現実の世界ではありあませんが、最後に再び出会う事ができました。天国が2つの門ではなくて本当に良かったです。
ほしのゆめみのプラネタリウムの解説。どこか楽しそうです。淡々としていますが、ほしのゆめみは、人に星の説明をするときは本当に楽しそうなんですよね。それが、彼女がロボットだから命令にしたがってクズ屋に説明しているのではなく、ほしのゆめみが、まってまって待ちわびた、星の話を楽しんでくれるお客さんだから、楽しそうという風にも見えます。
そして、ほしのゆめみが語る星の物語は、私が少年のころにプラネタリウムで聞いた解説そのままです。自分自身の郷愁と重なります。
もう2度と見ることができない星空、ほしのゆめみに残された時間は恐らくもうないだろうということ、そして人類の終末。
いろんな想いが胸に渦巻いて、もう、嗚咽するくらい泣いてしまいました。エンディングもよかったのですが、私はこの、ほしのゆめみが、淡々と解説する場面が本当にダメで、見るたびに泣いてしまいます。
先にOVAの雪圏球の方を見たので、ほしのゆめみに思い入れがあったんでしょう、余計に感動してしまいました。
はじめ初音ミクのできそこない、みたいに思って敬遠していたのが悔やまれます。
本当にすばらしい物語でした。