masamasa68 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「百億の昼と千億の夜」
全体評は自分には「十分に面白かった」です。
少し臭い位に古典少年漫画的な展開にすぎるので、その臭気が駄目な人には
徹底的ダメだとは思います。SFネタも思いっきり古典的。
投げっぱなしエンドと仰る人も有ろうかとは思いますが、
目標太陽系第三惑星地球と言っちゃった時点で、出オチというか、
ほぼほぼ先の展開は読めるし、言わなくとも無限に巨視的展開に
なると言うグレンラガンの銀河手裏剣のようなSFとも神話とも言えない
面白くも無い事にしかならないから、匂わせるだけにして良かったと思います。
あと気になるのは、横暴な神との対話となるといつも同じような展開に
しかならないのはもう一ひねり出来ない物なのかね?
光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」とか
ナウシカのラスト、地球へ・・・のラストの問いかけとほぼ同じ。
漫画版ナウシカの最後で造物主代理の墓所の主に対して
「私達の身体が人工で作り変えられていても、私達の生命は私達のものだ。生命は生命の力で生きている」と言う。
フィーネの最終回での主張も大体同じ。
「百億の昼と千億の夜」でも世界の破滅を目論む謎の意思の走狗と戦い、
最終的に世界の意思の声を聴く主人公は
「世界の外に世界が有るのなら、自分の戦に終わりは有るのだろうか」
との嘆きで終わる。
バックアロウの世界では何でも出来るチート能力者のシュウが
居るから、まあ神である地球人に対しても呆れるような交渉力を発揮して
問題無く解決に向かうだろうから、あの投げっぱなしエンドで正解。
と考えると、本作の肝であり構造的な問題はシュウが万能すぎる。
大体ワンパンマンと同じで出て来ると解決させてしまう。
多少手間取ったりはしたりはする物のあくまでじらし演出。
最終版の神代の戦いは中島脚本のグレンラガンを彷彿とさせるのは当然ながら、余りにも浮世離れし過ぎて呆れるしか無かったグレンラガンの一歩手前で
終わらしたのは谷口監督の手腕か。
神との戦い、真の自立といったテーマを書こうとすると、こういう事にしかならないと言う事なのだろう。
仮に神と競り勝ち神を超越するのなら、自身が神になるしかない。
度を越えた宗教臭がして何か嫌になると言うか、歯が浮くと言うか。
何か座りの悪い事にしかならないと思うんだよね。
だから、そういう結末を求める話では無く、あくまでそこに至る展開とキャラを楽しめという作品なんです。だからテーマも借り物で、最後も描かないと言う割きりなんでしょう。
賢者の言葉「これでいいのだ」