トリプレット さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
挫折や悲しみを乗り越えて生きていく
毎話毎話終わり方がずる過ぎて、次の回を見られずにはいられない。
第1話目の最初の抑揚のない部分を乗り越えれば、あとはジェットコースターのように物語は進んでいく。
例えば、第一話目の最後では、遠足で訪れた惑星で謎の球体が出現し、その球体に全員が吸い込まれて見知らぬ宇宙空間に全員が放り投げだされて終わる。
SF的未知との遭遇もテーマの一つには違いないのだけど、本当に描かれている部分は、登場人物の子供たちの一人ひとりの挫折とそれを乗り越えていく姿。
主人公の彼方は、過去の遠足で大好きな先生を失って、それによってトラウマを背負ったが、この旅でみんなを助けながら成長して乗り越える。
その他の子供たちにも、大好きな兄を殺されて復讐を誓った子供や、能力がないから目立たないように育てられて自信を喪失していた子供、親からの愛を十分に受けられずに他人との接し方を見失っていった子供など、ひとりひとりの子供が深い心の傷を負っている。
旅の目的は、自分たちが住んでいた星に帰ること。
その中で、いろんな苦難があり、子供たちどうしで助け合うことで、心が通じ合い、仲間を知り、自分の心の傷を明かして、絆を深め合っていく。
機が熟したころに、宇宙に放り出された子供たち全員が実は、実の親が作成したクローンだという衝撃の事実を知る。しかもそれは、親が年老いた時のために若返るためのスペアとして育ててきたというブラックぶりだ。
子供たちはなんと、新しくできたクローン禁止法に抵触する可能性があるということで、親たちに秘密裡に宇宙空間に放り出して滅殺されるように画策されていたのだった。そうならば、このまま自分たちの星に帰っても、きっと滅殺されてしまう。
しかし、女主人公だけは、自分の育ての親の愛を疑わず、事実を知ったあとも信頼していた。
帰還前の信頼する育ての親への連絡、その親から信頼できる刑事への連絡、そして、子供たちの滅殺を試みた親たちの逮捕へと続く。
ラストはひとりひとりが自分を取り戻し、なりたい自分に向けて新たな再出発を切っていく、清々しい終わり方であった。