nyaro さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
喪失感でメンタルをやられました。
初めて見たとき、最終話の喪失感で1週間ほどメンタルがおかしくなったのを覚えています。
なぜでしょうか。地球の滅亡を待つだけの一人残されたシュウジのためなのか、やっとシュウジを守れたチセの最期なのか。
人格を無くしたようにみえながらなんとか人間に戻ったチセ。最後は機械にも打ち勝って、シュウジと本当の意味で心を通わせ、シュウジを守り抜きました。心象風景でなければですが、地球は滅びるのだからどっちでも結果は同じです。
ハッピーな感覚は全くなかったですが、見て後悔したことはありません。そしてやっと最近2回目が見られました。
さて、戦争つまり命がいつ無くなるかわからない極限状況で、男女は惹かれ合うもの。それは不倫や浮気ではなく、人の本能ともいえるし、生きる意味を求めないと、誰かがそばにいないと今日を生きられないということでしょう。男女の気持ちと関係が錯綜する物語ですが、非日常性が冒頭からの舞台の様子の変化でうまく描写されており、まったく不快にならなかったです。
大きなストーリーでは、地球全体が戦禍に巻き込まれ、日本の各地でも、そして北海道、チセの住む街だけはなんとか生き残る過程が、物語の端々から読み取れます。
チセは、肉体が兵器になってゆく、心が浸食されてゆく、そして自分が居なければ大勢が死んでゆくことに追い込まれる。シュウジはそれを見て、恋愛感情とうらはらに拒否反応を起こしてしまう。
2人とも気持ちが乱れ、相手を想いながらも、自分の辛さから逃げようとして付き合ったり、別れたりを繰り返す。最後は仮初の夫婦生活を送るが、実はもう時間切れでチセは完全に兵器に変わって戻れなくなり、再び軍へと戻される。
シュウジとテツ、チセとフユミ先輩のパートナーの入れ替わりを見ると、それぞれが不安や心の隙間を埋めるためであり、なにか惨めでもあり、美しくもあり、悲しくもありました。
そして、9話のアケミの最期も、死を目の前にしてやっと想いを告げられるアケミの気持ち。ここも胸が張り裂けそうになりました。人はどんどん死んでゆきますが、ちょっとこれは…。ああ、ブランコ、ブランコですねえ。伏線というほどではないですが、いや、あれは…。壁の写真も…気持ちが伝わりすぎて、胸が本当に痛くなりました。
でも、最終話を考えるとシュウジに告白して、胸の中で死ねたのは、まだ、幸せだったのかもしれません。
で、はじめて記念。シュウジとチセの初めてって、あの展望台だったんですかね。夫婦の時にしていたのかと思っていましたが、あれは機械で出来なかった?そこは引っ掛かります。まあ2回目も冷静に見られなかったので、不明ですが気にしないでおきましょう。
原作読んで、このアニメの印象が変わるのが嫌なので読んでいませんが、読んでみましょうかね。
OPいい歌でした。歌手は残念ながら存じ上げませんが、美しい声でした。