nyaro さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
戦闘機のシーンはアニメNo1。消化不良を楽しめる人向け。
主役ともいえる雪風。独特のデザインですが実際に前進翼(翼が後ろから前に向かって伸びている)の機種はX29というのがあります。これは不安定な分、運動性が異常にいい機体です。エリア88の後半に出てきます。そこに世界最強のF22ラプターの尾翼やコンセプトを足した様な機体(ステルスの言及はあまりありませんでしたが)。
後半、子機を従えて飛ぶ姿は、第6または第7世代の戦闘機そのもの。
(追記 最近ロシアの戦闘機の解説見る機会が増えましたが、シルエットだけならSU47ですね。実験機ですが、ツインエンジン、2枚垂直尾翼、前進翼とカナード翼がそっくりです。)
4話最後の空母から離陸をするシーンはこの物語の中では珍しくかなり茶目っ気のある場面ですが、今度日本で開発するF3は同じようなことができるみたいですね。
まあ、戦闘機マニアの方がいらっしゃると恥ずかしいのでこれくらいにしておきますが、要はとてつもなく凄いです。デザイン、動き、演出もろもろ。5作全部とはいいませんが、4話目だけでもいいので、見る価値があります。
本当のテーマは機械と人間の関わりなんでしょうね。
敵であるジャムは、なんで人間なんて不便なものを通じて機械を操作するんだ、と不思議がります。
さて、この不思議がる場面で出てきた看護婦さん。彼女の表情が印象的でしたね。あれは人間の模倣なのか、それとも誰かを世話することで感情を理解したのか。
途中出てくる人間のエンジニアのマネをしたジャムが主人公と心を通わせるような場面もあります。記憶…が感情なんでしょうか。
そして、最後は人間の情報将校のマネをしたジャムが人間に情報を提供して自害(結局は雪風にやられる)しようとする場面もありました。
この辺りが、ほしのこえ、や宇宙のステルヴィアみたいな、心理が全く違う宇宙人が人間を成長させ理解しようとしていたのか、戦略として人のマネをしようとしていたのかが、最後まで分かりませんでした。
エヴァやファフナー、ラーゼフォンなどの雰囲気もありますが、何せ原作は70~80年代ですからだとすると先進性がすごいですね。
最後は雪風と主人公の関連に興味をもち、狙ってきます。
雪風です。雪風は捕らわれた主人公を守るために自ら犠牲にして、脱出するわけですが、これが自分をより強い機体を見つけたから、乗り換えるため、と見えなくもありません。
結局、雪風は主人公と心を通わせ、なのか、一体となってなのか、主人公を取り込んだのかはわかりません。が、結局は本当の戦闘妖精になってしまいます。
萌えを期待してはいけません。ただ、本作を超える空中戦は見たことがありません。4話の中盤はすさまじいです。
テーマは難解な部分はありますが、1話1話のエピソードはわかりやすいので、話が分からなくてつまらない、という事はなく、むしろ面白いです。
AIもの、というよりは、未来の人間とAIの在り方の1つの形、という感じでしょうか。たぶん、アニメを見ているだけでは謎解きは出来ないと思います。この消化不良を楽しみましょう。わかりませんが。