レオン博士 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
愛という名の呪い
異性に抱きつかれると干支にしなんだ動物に変身してしまうという呪いがかかった草摩家の皆さんと、どこまでも心が綺麗な少女、透の間で繰り広げられる群像劇。Finalと銘打っていることからわかるように続きの話なので先に1st2ndシーズンをご覧ください。
私はすごく小さい時に家にあった漫画を全巻読破しましたが、夾 推しなのは昔から変わってないです。
旧アニメはちゃんと見たことなかったのでとても楽しみにしていました。
夾やっぱいいね、すごくいいキャラ。
とりあえず、とても丁寧に2人の絆を描いてくれたので、満足です。
登場人物の抱える苦しみが、周りのキャラクターのやさしさで少しずつ癒されている感じがこの作品の魅力で、十二支の呪いというテーマも出てきますが、やっぱり絆を描いた物語だと思う。
透も素直でかわいらしいが、友達のうおちゃん花ちゃんもいいキャラしてて、とてもいい関係で微笑ましいですね。
原作には登場する結構大事なシーンがカットされているのは失望したが、全体的に丁寧なつくりをしていて満足のいくリメイクだ。
ただ、主題歌は昔のforフルーツバスケットのほうが良かったと思う。
少女マンガ特有の面倒くささは随所にみられるものの、改めて魅力的な作品だと思った。
最初は動物に変身してしまうことを隠さなきゃいけない生きづらさ、草摩家以外の人間とかかわることの難しさ、本家とかそうじゃないとかなんかめんどくさい家ってくらいにしか思わなかったものが、徐々に草摩家のことを知ることで、そんな単純な闇ではないことが透を通じてだんだんわかってきました。
草摩家の皆さんは、「生きづらい」なんて言葉で片付けられないくらい苦しい人生を歩んでいる。
簡単に言うなら、魂に楔を打ち付けられているような。
物の怪憑きにかけられた「呪い」は、同時に「絆」でもあって、あきとと十二支の間には魂に刻まれた家族よりも深い絆があった。
絆という言葉ですら足らない。魂に刻まれた絶対に切れない絆。
それは、理性や心をも縛り付け、変えてしまうくらいに。
その絆を、愛しいと思う気持ちと、息苦しいと思う気持ち。
どちらも抱えているから、彼らはとても苦しい。
さらにアキトはその絆で無理やり従わされているからみんなついてきてるだけだと思っていて、実の母親との確執も相まってある意味圧倒的な孤独を抱えて過ごしていた。そのせいで性格はひどくゆがんでいた。
アキトさんにとって必要だったのは、生まれる前から決まっていた絆などではなく、本当の愛だった。
呪いからの解放は、何より待ち望んだことでもあり、同時に何より恐ろしいものでもある。
彼らにとってその絆は、この世のどんなものよりも大切なものなんですね。
つまり、呪いからの解放とは、愛の喪失に他ならない苦痛。
彼らが自由を手にする代償は、この世で一番大事なものを喪失するのと同義だった。
まさに呪いですね。
透はそんな彼らの前に舞い降りた天使だった。
呪いを解いたのは、鎖なんてなくても決して裏切らないと信じられる圧倒的な「愛」なのだろう。
愛という名の呪いは、愛でしか解けないらしい。
もしかしたら、「愛」とは「呪い」の一種なのかもしれない。
呪いが解けて晴れやかなラストでしたが、苦しみがなくなった代わりに楽しかった日々からの卒業も意味し、ちょっと寂しげな感じが随所にみられる最終回が特徴的でした。
でもそこがこの作品の締めとして絶妙だと思った。
あれだけ呪いと絆のことで葛藤していた彼らが、解放されたら何もかも幸せでめでたしめでたし、としなかったところは、原作者の上手いところだなと思った。
シナリオはとても良かった。
この作品の視聴を終えたあなたに、今一度、問いたい。
雪が溶けたら、何になりますか?