Tnguc さんの感想・評価
2.5
物語 : 2.5
作画 : 2.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
ギャルゲーの知識で人間関係を乗り切れるのなら、これはもう異世界ではなくギャルゲー界なのでは?
~
昨今の異世界転生モノにおける悪い習慣がこの作品ではかなり抑えられており、それは、丁寧に繰り広げられる日常や、圧倒的な作画によって美しくデコレーションをされている。しかし、肝心の生地の部分は他の異世界転生作品と同様で、主人公の理解通りに展開する世界観が根底にあり、そこらへんの作品と代わり映えのしない拙い作り込みが垣間見える。また、主人公は常識知らずのニートという出自ながら、その最低からのスタートが何一つとして描かれておらず(それが異世界転生の性分なんだろうけど)、異世界ではまるで別人のように描かれており、ニートという設定が必要だったのかと不思議と思う。そのため、転生という要素の必要性も薄く、ここまで気合を入れてファンタジーを創作するくらいなら異世界転生モノとして組み立てない方が良かったように思えた。言い換えれば、ファンタジーとしての体裁は割とよく出来ていただけに、ギャルゲー云々の演出や、性に対する気持ち悪い描写などといった、一部の童貞に調和するためだけに用意された要素が余計にファンタジーの邪魔をしているなと思った。あと、主人公の行動の正否は基本的に視聴者に委ねられていて、これは単なる説明不足だと感じた。とくに、父親との言い争い(論破シーン)や、とある少女との初対面で交わした暴力など、実年齢30代の主人公がとった行動の答え合わせが作品内でとくに触れられない点が妙に気持ち悪かった。かと言って、主人公は誰かに叱責や称賛をされたりするわけでもなく、作者がどういう意図を持ってこれらのシーンを描いたのかが不明瞭であり、ましてや主人公の言動があたかも正義的と言わんばかりである。個人的に有害図書に近い不快感を抱いた。とにかく、この作品は本来のメインテーマとも言える「無職」と「転生」の要素が、作者の描きたかったであろうファンタジーに対して不要にさえ思えた。実にギクシャクとした作品、というのが素直な感想である。
個人的評価:★★☆☆☆(2.5点)