nyaro さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
SF設定が素晴らしい出来。キャラもストーリーも良かったです。
ゲームで死ぬと、本当に現実で死ぬっていう設定。ここまでSF設定としてきちんと作り上げたことにまず驚きました。
普通は魂がどうとか、現実の脳が耐えきれなくて、みたいな都合のいい設定でやるんですけどね。もちろんゲーム機としての安全性とかあると思いますが、VRMMO創世記ということで違和感がありません。VRMMOアニメ(小説)の嚆矢として、独創性、創造性でかなり評価できると思います。
前半はサチの話がとにかく胸に来てしまい、あの話だけ何回も見ています。私の中では「遅れてきた手紙もの」(そういうジャンルがあるかしりませんが)としては、最高でした。声も非常にあっていて、エンディングとのつなぎが素晴らしかったです。
ユイの話とか花を取りに行く話等々個々のエピソードもそれぞれ面白かったです。
その他のストーリー、アスナの心情と行動とキリトの考えが、ちゃんと合わさって恋愛になったり、そのアスナをめぐる後半の戦いも非常に胸が痛くなりながらも面白くみました。アスナはバックボーン、行動原理、言動、性格に一貫性があり非常に魅力的なキャラを作ったなあ、と感心しました。
後半も命の危険はなくなりましたが、アスナは現実の危機にあるわけですし、MMOの世界観も前半との違いを明確にしながら、面白く作ったなと思います。妹の内面も結構よく描けてましたし。
ハーレム要素が強すぎる点や、「スターバースト…」等の俺TUEEEの厨二感に批判があるのも理解できなくはないです。が、エンターテイメントとして、これがなければ陰惨で見てられません。素直に二刀流はちょっと熱くなりました。
なお、実際はキリトは結構負けたり苦戦しているので、全然俺TUEEEではないのですが、なぜにそう見えるんでしょうか?強い理由もβテスターだったこと、サチのトラウマでしゃかりきにソロでレベル上げしていたこと、ゲーム頭でシステムを理解している、等々いくらでも理由があるのに。
それにキリトは、そんな単純なキャラ造形に見えませんでした。孤独、苦悩、トラウマから、他の人に助けられ、協力してゆくところなどの成長もありました。
ラノベなので少し評価が低くなりがちですが、SF設定としては、非常によくできています。むしろ、早川のSFとして出ていたら、小説としての評価はもっと高かったかもしれません。
また、そのラノベというジャンルの小説としてエンタメ性はかなりのレベルです。
さらに、小説として分かりづらいところをアニメで良く補って素晴らしい作品に仕上げていました。