ようす さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
少女達が背負ったのは、銃の重みと大切な人のために人を殺す運命。
2012年まで連載されていた漫画が原作のアニメ。
あにこれでレビューを読んで、
「面白そう」と興味を持った作品でした。
全13話です。
● ストーリー
舞台はイタリア。
障害者への様々な支援を行うという名目で政府が設立した「社会福祉公社」。
しかしその実態は、
暗殺等の政府の闇の仕事を遂行する特殊部隊であった。
障害を持った肉体を改造され、
「条件付け」と呼ばれる洗脳をされた少女たちは、
銃撃等の訓練を受け、
担当官と共に任務にあたる。
銃を握り、人を殺すことに何の感情も抱かず、
己の担当官のために引き金を引くことが生きがいだとして…。
もとは重度の障害や重体だったが、
半人造人間的な感じで生まれ変わったのがこの組織にいる少女たち。
身よりはなく、
元の記憶もほとんど残っていない。
条件付けによるものなのか、
自身の担当官(少女一人につき担当官が一人ついている)のことが第一、
彼らの命令に従ってテロリストを暗殺したり、
銃を手に取り危険をかえりみずに突撃したりしていきます。
1期では6人の少女が登場し、
全員のことが1話程度かけて深く描かれています。
境遇も違えば、担当官からの扱いも違う。
素顔はただの少女だけれど、
それぞれの今の生き方や考え方、担当官との関係に違いがあり、
微笑ましいこともあれば、切なくなることもありました。
見ていて後味の良い作品とはあまり言えなかったな…。
雰囲気は暗く、
難しいと感じる話も多かったです。
でもそれが他の作品では味わえない、
この作品ならではの魅力でもありました。
後味は良くないのに、続きは観たいと思う、不思議な魅力。
彼女達の感覚はどこか壊れていて、
人を殺しても何も感じない。
それがたとえ顔見知りだとしても、
担当官の障害となるのなら、一切のためらいも後悔もない。
彼女達の感情が曇るのは、
担当官からの愛情が感じられない時。
担当官の義体に対する考え方の違いや、
条件付けの違いによって感じ方も異なるのですが、
担当官に認められたい、愛されたいと、
一生懸命になりながら、しかし空ぶってしまう少女の姿は、
見ていて、いたたまれない気持ちになりました。
少女たちに肉親はなく、
いわば担当官が唯一の肉親のような存在。
なので愛情を求めることも、
期待に応えたいと思うことも、
当然の感情。
これって実の親子でも同じことがありますよね。
子は親からの愛を感じられないと不安で、
頑張っても空回りして、さらに嫌われてしまうという悪循環…。
一方で、愛情を受けて、
その形は様々でも、それを感じている少女は幸せそうに見えます。
● キャラクター
少女たちは可愛く、
担当官はかっこいいなと思いました。
リコとジャンのような、仕事上のパートナーだと割り切っているペアのほうが見ていて安心しましたが、
ヘンリエッタとジョゼのような、一人の少女として大切にしたり、
一人の男性として慕っている関係も悪くありませんでした。
アンジェリカとマルコーのような、
本当は互いを想っているのにうまく伝わらない関係ももどかしい…。
でもその分、伝わった時の感動はひとしおなのですが(´;ω;`)
担当官はみんなどこか接し方が不器用ですね。笑
まあ、普通の少女ではないし、
ましてや仕事で殺人をさせるわけだから、
普通に接するほうが難しいわけですが…。
私のお気に入りは、
ヘンリエッタの担当官のジャンさんでした。
優しく語り掛ける心地よさ。
ジャンさんのような兄がいたら、
そりゃもうべったりしちゃうよね…。笑
● 音楽
【 ED「DOPO IL SOGNO 〜夢のあとに〜」/ op.(オーパス) 】
やるせない話の後に、
雨の降る背景と共によく合うEDでした。
● まとめ
愛する担当官のために戦い、人を殺し、
その素顔はただの少女と変わらない。
最終話は不思議な終わり方でしたが、
全話見た後は、なんだか切なくなりました。
かわいそうとは違う。
だってみんな笑顔なんだもん。
殺すことにためらいはない。担当官のためだから。
彼女たちは幸せなのだろう。自分を必要としてくれる担当官がいるから。
でもどうしても、もし彼女達が歩むのが普通の人生だったら…
という想像もしてしまう。
全話を見て、彼女達のことが大体わかった今、
もう一度見直すと、より味わい深いものがありそうです。
そしてこの作品の魅力に、
より深く触れられそう。
2期は話の続きになるのかな?
引き続き楽しみたいと思います。