ERIN さんの感想・評価
2.0
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 1.0
状態:観終わった
声優要素を求めてはいけないアニメ
今更ながら視聴させていただきました。
まず端的な感想を言うと、面白い面白くない以前にどこをどう楽しむ作品なのかがわからなかったです。
1話から12話までかけて、1秒たりともクスリともしなかった作品は久しぶりでした。
面白いと言っている方々の反応を見る限りですと、どうやら単純なギャグアニメとして見るのが正解のようですが、ギャグにしたって全く面白くないと思います。
あと大して面白くもない「勝ったな、ガハハ」を2話に1回くらいの頻度でねじ込んでくるのが恐ろしく寒い。
私は『SHIROBAKO』や『それが声優!』のような業界アニメが好きなので、声優アニメと聞いて視聴しましたが、結果的には視聴したのは大失敗でした。
『SHIROBAKO』のような業界の裏事情を見せてそれを皮肉的に描写したら面白いだろうとでも勘違いしたどこかの誰かさんの思惑が透けて見えるようなのも印象悪かっです。
仮にそんな思惑がなかったとしても、そういう印象を与えてる時点で失敗だと思いますが。
まず主人公についてですが、声優の仕事への熱意のなさ、業界そのものへの無知さ、最初から最後まで成長の余地すら見せない怠惰さ等々言い出したらキリがありませんが、この辺のダメ要素が好きになれませんでした。
先輩の役者に対する舐め腐った態度や常に責任転嫁して堂々としている様子はおそらくギャグなのでしょうが、それで中盤になって新人声優に追い抜かされて凹まれてもいや当たり前だろうとしか思えないんですよね。
10,11話辺りのシリアスな感じの雰囲気にしても、何の努力もしてない顔と若さと運とコネだけでキャスティングされてる勘違い声優が追い抜かされて何シリアスになってんの?と。
むしろ1,2話の頃からずっといつになったらこの子が凹む展開になるんだろうと思ってたらいつまで経っても調子に乗りっぱなしだったのでようやくかと思ってたくらいです。
3話辺りでニコニコ動画のコメントで叩かれてたみたいですが、あんなのは上げて落とす範疇に入りませんし。
そして最後の最後まで特にこれといった努力も成長もなく、図太いメンタルだけ褒められて終わるという意味不明な主人公でした。
特に最後の方で新人が収録に遅刻しておいて深い謝罪もなく語りだすシーンはそれこそ一種のギャグのようにすら思えました。
次に主人公以外のキャラですが、総じてキャラが薄いことと、一部の人間描写に違和感しかなかったことが印象的です。
諸悪の根源とも言えるクズは、作中で昔はすごかったんだけど、みたいなフォローをされていましたが、特に「やっぱり昔はすごかったんだ」と思わされるようなエピソードもなく、単に昔の同僚に負け越してふてくされたまま終わってました。
最後の方でなんかちょこちょこ動いてたみたいですが、それまで通りのバカっぷりだったのでまさかあれでイメージ挽回できてるわけもありませんし。
というか本当に昔敏腕プロデューサーだったなら契約が間に合わなかった際に違約金が発生するのを知らなかったのはギャグだとしても違和感しかなかったです。
あと金髪と青髪の先輩声優は、主人公含む新人声優たちと仲良くやってましたが、主人公のあの無礼にも程がある態度に対してさほど気にした様子もなかったのはファンタジー過ぎると思います。
そして重要なのが、このアニメに声優要素を求めてはいけないということです。
『それが声優!』のような現役のプロ声優が原作者を務めている声優作品に比べると、声優要素の希薄さに愕然としますから。
というより、最初から最後まで一貫して声優アニメでやらなくてもいいようなストーリーしかありませんでした。
大物役者とその子供の人間関係とか、地方から上京してきて頑張る役者とか、途中で心折れた兄と図太いメンタルで続けられてる妹とか、声優じゃなくとも普通に役者ものでも問題なくできる話しかなく、「声優アニメ」ならではの!みたいな要素が、本当に欠片もないアニメです。
声優としての仕事描写の少なさといい、男性のモブ声優を含めても声優キャラクターが7人しか登場しないことといい、つくづくこのアニメは声優に焦点を当ててないなぁと実感しました。
やはり、このアニメに声優要素なんてものを求めていた私の方が間違っていたのでしょうね。
ですから、これからこのアニメを見ようとする人は間違ってもこの作品に対して「声優の奮闘」などの声優要素を求めない方がいいですよ。