栞織 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
標準的なタイムトリップもの
出だしは家族ムービーみたいでしたが、ラスト近くでタイムトリップの場面があり、SFではあると思います。また近未来の東京駅の場面は、未来予知できる人が作ったのかという感じで迫力がありました。しかしSF的な仕掛けがある作品ではなくて、ごくふつうの時間旅行的な作品です。それでも、戦時中や戦後の場面には、思わずちょっとうるりとさせられました。ひいじいじの若い頃の姿が、本当にかっこいいんですね。あの時代にはありえないぐらい決まっている人物でした。
お話としては、くんちゃんという男の子の童話的な成長譚と言っていいと思います。少し裕福な家庭には見えましたが、航空写真の間取りの様子では、それほど大きな家に設定されていないようです。そのデザイン住宅の中庭に不思議な空間が出現して、くんちゃんのむずかりと同時に、いろいろな人物の過去や未来が見えるという趣向です。筒井康隆さんが書きそうな感じの話でしたね。電車の場面が数多く出て来て、主題歌も山下達郎さんでしたし、好きな人にはものすごくはまりそうな作品です。特に男性の方には郷愁があるんではないでしょうか。出てくる幼児や乳児の動作や姿態には、子育てした人でないとわからないようなリアル感がありました。よく子供を観察して、アニメートに起こしていると思います。ただ、こういった子育てに実感が湧かない若い人には、アピールは少し難しかったような気がしました。従って見る人を選ぶ作品だと思います。
蛇足ながら東京駅で紛失係のロボットに尋ねる場面では、昔に読んだ「鉄塔武蔵野線」という児童向け小説の中の場面を思い出しました。おそらく参考にされたのではないでしょうか。この本は「千と千尋の神隠し」のどれかのムック本に関連書籍として紹介されていた本で、千尋公開当時に読んだ覚えがあります。