nyaro さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
テーマは平凡ですが、脚本も映像も設定もしっかりした面白いSFでした。
冒頭で、解説ではなくストーリーで世界観を説明しきっているはすごいですね。
肉体を捨てバーチャル空間に退避した人類の物語である。その施設は宇宙空間にある。ハッキングを受けていて深宇宙探査船による外宇宙への移住を推奨している。肉体の遺伝子情報を保持していることから、生殖行為またはそれに類似したことは行われている。貧富の差が存在しメモリの割り当てである。個人データの質はそれに依存している。地球世界は遺伝子が変化したクリーチャーが存在する世界である。
ここまで10分で簡単に読み取れます。これは劇場映画のシナリオとしては大したものです。
ヒロインの見た目がこの間3回変わっていますが、違和感なく受け入れられました。CGは一昔前感がありましたが、ヒロイン役の16歳の見た目は出来がいいのでOKです。表情がVtuberとかMMDの表情そっくりで笑ってしまいます。横顔はちょっと厳しいですかね。
にしてもCGアニメキャラの創成期でこれだけ可愛いデザインを作れたのは大したものです。
地球の世界観もかなりいいですね。空や廃墟、砂漠、街の見せ方は素晴らしいです。
宇宙船に、最後の1手が必要な設定がきっちりしています。AIの行動原理、存在意義にもつながっていますし。
終盤はじめのコンピュータ空間のイメージ化や地上降下のビジュアルは見ごたえがあります。
ディストピアのSF設定としては秀逸です。テーマは平凡ですが、組み合わせることで結構面白いストーリーを構築しています。AIの人格化と人間との相互理解が結構説得力があり、なかなか、感動的です。
いままで、どっかで見た?という既視感をあまり感じず、目新しい映像とテンポがいいストーリーで単発の劇場映画の出来としてはかなりのレベルではないでしょうか。時間も100分ちょっとなので、中だるみもあまり感じません。一回結論めいたことがあったあと、次の展開や戦闘シーンとかあるのでちょっとそこが間延びしましたかね。
要はかなり面白かったです。
気になった点です。まあ、本当はさほど気になりませんでしたが、せっかくの考察に値するレベルのアニメなのでの戯言です。
あの3人の指令というか彫像たちは人なんでしょうね。アンジェラが地上のAIを指して「彼は人間ではない」と釈明しているので、人格なんでしょうね。査察部云々という話もありますし。
そうなるとテクノロジーの発達とAI、コンピュータの発展レベルがアンバランスですかね。AIがいろいろ判断すればいいじゃないかと思いますが、そっち方面の発達はしなかったんですね。
人体を1日で成長させられるんですよね?人類が何人いるかわかりませんが、VR空間を共有されられるスペックがあるんですよね?人格を信号化できる技術もあるのに。それでメモリの取り合いですか。宇宙空間にあるのでハードの拡張ができないんでしょうかね。わかりません。
おっぱい揺れすぎ、ハイレグすぎ問題はちょっと気になります。バイク型のコックピットもちょっとあざといですよね。
肉体の快楽を超越して…とかいってましたが、ビーチリゾートにあんなに人がいました。ナンパもしてましたし。あんまり、超越観がありません。
ロボット壊すなよ。銃で撃たれて壊れるなよ。
攻殻機動隊のようなゴーストという設定がないので、個人のアイデンティティの同一性は気になりました。また、逆に宇宙に行く人格はアンジェラとディンゴ、あるいは誰かのコピーでもいいんじゃないかと思いました。
肥料から作るロケットは、固体燃料ロケットですよね?打ち上げのとき、氷がパラパラ落ちないのでは?あれは液体燃料ロケットの打ち上げの様子ですよね?違いましたっけ?
ディンゴがちょっとカッコつけすぎ?