nyaro さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
少年少女の成長物語。何年たっても余韻が味わえます。
いつもオレンジ色がかった町なのは、小学校時代の思い出は、放課後の夕日とともにあるということなのでしょう。そして、得体のしれない工場から聞こえるサイレンの音。吐き出される煙。
{netabare} 兄へのコンプレックスを持つ少年、その兄に振られた元カノのJK。お互いが寄り添いながら、でも、それは本当の関係ではなく、少年の成長を感じ自分の居場所ではないと感じたJKは自分の道に進みだします。
少年の日常を振り回すいかれたエロ女。本人も言っていましたが、メーテルのように少年の日の幻影なのでしょう。成長した少年を残して去って行ってしまいます。
少年を想う少女は少年より先に成長し、少年が追い付くのを待ちます。それは2人の大人の女はいつか少年のもとを去ることが分かっているような達観を感じます。
3人の女たちに翻弄されながらも、少年は成長し、最後は中学生となって幕を閉じます。
そうそう、FLCLって、Fooly Coollyのことだったんですね。最後にJKが主人公を撮った写真のタイトルの題名でした。本来「馬鹿な」はfoolishですがfoolyは語呂合わせでしょうね。Coollyは「冷静な」でしょうね。あるいは「冷たい」かもしれません。
{/netabare}
演出に悪ふざけのような印象はありますが、おかげで登場人物たちの「不幸」が相対化されるので、成長のストーリーが押しつけがましい寓話にならないことが良かったのです。
実験的ながらスタイリッシュ(死語?)な映像、ギターがどこか懐かしいような音楽で、感性に訴えかけます。こんな「少年の日の思い出」があればなあ、と思わせます。
何年経っても余韻を味わえる素晴らしいアニメでした。
こういうアニメがまた作られる「余裕」がアニメ業界に欲しいですね。