101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
面倒臭さや拍子抜け感すら心地良い青春ラブコメの完結編
【物語 4.5点】
3期は、2期から監督を務めた及川 啓氏の続投(最近だと『ウマ娘』などが印象的)
前作にてエピソードを押し込んだ苦闘の経験が生かされ、
テンポアップにより、尺にも余裕を持って、毎回、次が気になる引きにこだわる構成。
それでも原作から色々と削られたのでしょうが、
未読組の私にとっては、1クール、スルスルと視聴でき、
クライマックスではじっくり浸ることができる、心地良い脚本でした。
手慣れたペース配分により生じた余剰尺に
例えば1話にて{netabare}1期で取りこぼした川崎さんのデレの伏線を回想{/netabare}する懐の深さw
引き続き"本物”を求める主人公・八幡の葛藤が軸。
嘘でも良いからだの、そもそも本物である必要なんてあるのか?だの
揺さぶりも厳しいラストスパート。
乗り越えれば、ひねくれた本シリーズらしい収穫が得られる。
11話で{netabare}折角、恩師がシンプルイズベストな解答例を示したのに、
面倒臭いことこの上ない告白の応酬で人生を歪め合ったり。{/netabare}
最終回{netabare}本心を伝え合ったらコミュニティーが崩壊するのでは?
とあれだけ皆ピリピリして来たのに、
告白を通過後は、良い意味で拍子抜けしたムードになったり。
特に{netabare}ガハマさんにヒッキー略奪計画を囁く
いろはすのシリーズ全話ちゃぶ台返し発言w
やっぱ、あなたは最狂の小悪魔系後輩ですw{/netabare}{/netabare}
ラストのある種のグダグダ感w
絶対の本物なんて無いのだろうが、
本物と呼べる物を求めて懸命に悩んだりする過程こそ青春との視点に立てば、
むしろ嵐の後の清々しさと、自然に受け入れられる幕引きでした。
【作画 4.5点】
アニメーション制作・feel.(2期で交代から継続)
前作で毒は抜けたけど作画は安定。→表情描写等がさらに繊細に。
皆、よい表情するようになったけど、
特に結衣辺りは、憂いを含んだ微笑み等、
彼女、本当に八方美人で悩んでいた方なの?
ってくらいの千変万化。
私としては、1期のヒッキー&ゆきのんの刺すような目線がスッカリ影を潜め、
一抹の寂しさも覚えますがw
これも真剣に恋をした青少年たちのキャラ進化と捉えれば感慨深い物があり、
その成長を描き切ったのは高評価ポイント。
背景も8話の{netabare}“ダミー”プロムのPV撮影での夕暮れ時の海岸{/netabare}などに至るまで、
撮影等も、光の効果を交え、心情表現に寄与。
【キャラ 4.5点】
雪乃の姉・雪ノ下陽乃。
“共依存”のキラーワード等で、奉仕部の三人を呪縛し、
事あるごとにちょっかいを出してきたヒールポジション。
が、抱えて来た20年など、真意の一端が明らかになるに連れ、
理解はできる?と首肯することも。
{netabare}「君は、酔えない」も、私も上辺だけの飲み会で酔えない不快を思い出し{/netabare}グサリときましたw
そんな姉や母に対して、自分を貫こうするヒロイン・雪乃。
こちらも結衣同様、穏やかな表情の中に、様々な想いが入り混じった乙女な表情が印象的。
彼女も随分デレた?とニヤニヤして鼻の下を伸ばしていた所、
{netabare}1期6話のツインテールで既にデレていたらしい{/netabare}と知り顎が外れかけましたw
乙女心は読めませんw
主人公・比企谷八幡。
一連のプロム等での、学校内外に広がる人脈を見ると、
もう彼は全然ぼっちではありませんね。
守破離(いや、そんなに守ってはないかw)を見事に体現し、
青春を取り戻したヒッキーは、
平塚先生にとっても最高の生徒だったのでしょう。
【声優 4.5点】
嘘や刹那的なイベントの中に真意を滲ませるハイレベルな演技が求められた本作。
由比ヶ浜結衣役の東山 奈央さんら、キャラに馴染んだ主要キャストならこなします。
雪ノ下家の姉(CV.中原 麻衣さん)と母(CV.井上 喜久子さん)の圧力が満ちたあの一室。
修羅場でしたw
雪乃役の早見 沙織さん。ツンツンも良いけど甘~いはやみんボイスをもっと聞かせて
という(個人的)要望に応える充実度。
特に最終話{netabare}やはり『俺ガイル』はヤマ場でもストレートに好きとか言わなかったか……
と油断させてからの「あなたが好きよ」の奇襲はクリティカルヒットでしたw
世の男子が美少女と事務連絡しただけで
会話できた!脈あり!?と勘違いしかねないので、おやめ下さい(笑){/netabare}
【音楽 4.0点】
劇伴も2期・MONACAの高橋 邦幸氏が引き続き担当。
作風等は概ね前作に準拠するが、ここに来てシリーズの蓄積が効いたのが、
過去作主題歌ピアノバージョンの勝負所での起用。
選曲もキャラにマッチしており、心情表現強化に貢献。
OP主題歌も、やなぎなぎさんが「芽ぐみの雨」でシリーズ完投。
詩的な歌詞が、特に6話終盤辺りのシーンと親和性が高い、切ないラブソング。
ED主題歌もまた「ダイヤモンドの純度」により、
作曲・黒須克彦氏による雪乃&由依の
外面の綺麗さより、中身の密度にこだわった青春キャラソンで完走。
一方のヒロインにフォーカスするとソロになる演出も最後までグッド♪
あと{netabare}横文字の付け焼き刃から脱した玉縄がヒッキーに仕掛けたラップトーク{/netabare}は笑撃的w