nyaro さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
人間とは何かを問われる緻密な設定のSF大作
原作は多分未読です。原作者がホラーの人のイメージがあったのと、アニメの出来が素晴らしいので恐らく謎と解決に満足したんだと思います。
超能力の発現と遺伝子操作という2つの要素が基本のSF設定となります。ストーリーは人類史における超能力の初めての発現からいかにして、その能力と共存しながら人間は社会を築いていったのかの謎、ですね。一種のディストピアもの、ともいえます。ヒロイン視点なで登場人物がコロコロ変わったりするわけではありません。
超能力の性質は設定がありますが、発現理由については設定はありません(ヒーローアカデミアやシャーロットみたいなものだと思ってください)。
ストーリーとしては、ヒロインの少女時代から成人になるまで、いくつかのエピソードを追いながら、最終的に謎は解明しますが、少し後味が悪い最後となります。{netabare} 再び災禍がおこる可能性、または、人間は大きな犠牲の上にしか継続してゆけないとう示唆となります。{/netabare}
いくつか区切られたエピソードの中に謎かけ、謎解きというながれで物語は進行しますので「なるほど、そういう世界だから、こういう事件が起きるのか」という理解ができます。社会の仕組みそのものは、最大の仕掛け以外は、中盤でほぼ解決されます。
後半は、人類にとって非常にやっかいな敵が現れ、ヒロインがどう対処するかというエピソードです。{netabare} キ死機構(文字は不明。キは貴か愧でしょうか)を題材にしており、ここのパートは世界の謎解きというより事件の解決に主題が置かれます。{/netabare}
私はSF好きなので、大好物のカテゴリーでした。しかも考察しながら見るのにもってこいの物語でした。25話の構成をきっちり決めて脚本を書いたのでしょう。
人間が極限に置かれた場合、どうやって社会を統制してゆくのか、階級を上の側から見た場合の施しとか配慮と、下で統制されることやプライドは、どれだけ乖離があるか。いや、本当に上手にストーリーを組み立てました。
テロメア、ハダカデバネズミやボノボ、炭そ菌など生物あるいは遺伝子についてクリエータ(原作者?)は本当に研究したんだなあ、と思います。
さて、最大の仕掛けについての疑問というか読み取れない部分です。 {netabare} 化けネズミ、つまり無能力者の遺伝子操作についてです。ここが唯一SF設定として理解できませんでした。遺伝子操作は通常生まれてくる子供に対して効果はありますが、現在を変える力にはなりません。世界に広がった能力を持たない人間を化けネズミに変化させるプロセスはどうしたんでしょう?どうやって従わせたんでしょう。
先に無能力者に遺伝子操作してから能力者にキ死機構だと、その間に超能力者同士の戦いで大惨事になりますから。逆の順番だと無能力者にやられますよね?{/netabare}