TaXSe33187 さんの感想・評価

1.8
物語 : 1.0 作画 : 1.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態：途中で断念した

サッカーをダシに罵り合いを楽しむ人々

前情報を仕入れずに観始めたけど、何一つとして見どころがなくて衝撃を受けた
というか見れば見るほどストレスが溜まるばかりで、悪い意味での「漫画らしさ」ばかりが目立つ

{netabare}主人公格の恩田が女子サッカーの弱い高校に行くのはまぁ分かる
最初の雰囲気だと男子の名門校に行ったものの、中学のコーチの勧めで女子サッカーの道に進んだみたいだし
ただ、他のメイン2人に関しては意味不明
高校選びの理由すら曖昧な女の子と、お友達の馴れ合いを優先して弱小校に進学した女の子
この2人が女子サッカーでトップを目指すと息巻いてるんだからもう笑えない

この3人がチームを牽引する立場になるんだけど、全員がマウント合戦に必死になってサッカーをやろうとしない
恩田は練習でやる気を出さずボールに触ろうとせず、コミュニケーションをとって連携を相談もしない
なのに練習試合になると突然調子に乗り始めてさもサッカー頑張ってるアピールをしだして周囲が評価する

他2人にしてもひたすらワンマンプレーギリギリの行動ばかり取って、そのくせ周囲のミスは必死になって罵り続ける
高校進学の時点で偉そうなことを言ってるのに何も考えず弱小校に行くのもそうだけど、
「漫画のキャラだから誇張した表現しても許される」みたいな考えで整合性を放棄した展開ばかり
舞台設定が地に足ついた女子サッカーなのに、登場するキャラは漫画すぎて話全体がブレている

サボってばかりでろくに練習しないキャラと、他人を罵ってばかりのキャラが話を牽引するから、メイン陣営が早々に嫌いになる
この嫌いな集団が練習試合を行って、ストイックな名門校と戦うことで自然と名門校を応援してしまう展開に
いやもうこんなに自然にライバル校を応援してしまうアニメってなかなかないと思う…

ギャグとか漫画原作とかフィクションとか免罪符を並べるのに夢中になって、話自体を面白くすることを忘れたんだろうな
脚本があの人ということもあって、脚本部分の難も多くて登場キャラの名前も特徴もほとんど覚えられない描写になっている
ちらっと聞いた話だと、恩田さんの比率を上げたりキャラの登場頻度を弄っている部分が多いらしい
ただ、ベースのキャラの性格に関しては大幅に変えるタイプでもないので原作由来の問題が大きいと思う

脚本の問題点はキャラクターとは別の部分にあって、それは試合描写
どんなプレーをしていてどういう選手で相手はそれにどう対応するのかを全部台詞で説明している
これが漫画なら読み手のペースで台詞を読み流して試合のテンポ感を維持できるけど、アニメだとひたすら冗長なだけ
台詞の間は顔アップになって試合展開も止まるため、大した内容じゃない場面でも全然話が進まない

これが地方予選の決勝だとか、シナリオ終盤の山場なら理解も出来る
それまでの練習で積み上げたものを一つずつ丁寧に描くなら、名場面にもなったかもしれない
ただ、この練習試合は作中最初の試合であって、練習風景すらほとんどない言わば部活モノ定番の「負けイベント」
実力差に心が折れそうになる中で奮起するっていうだけの展開なのに、時間をかけてやる意味がない

周りの目を気にして友達と一緒の高校を選んだり、ことあるごとに周りを罵倒するのに執心する姿は「漫画的な」女子らしさがある
大差で負けてることから目を逸らして戦略的な観点だとか見返してやるだとか言っちゃうのも「漫画的な」部活キャラっぽい
でもそれが女子サッカーの現状だとか地に足ついたような部分と致命的に噛み合ってない
女子サッカーで飯を食えないとかって発言も、プロの土壌が育ってない以前に部活の感覚がプロ志向じゃないだけに見える

元プロのコーチは「漫画的な」お遊び罰ゲームばかり繰り返して練習内容はほぼ見せない
監督をしている顧問は「漫画的な」ひねくれキャラで、言い訳に必死で生徒やコーチを馬鹿にすることでプライドを保つ
キャラクター設定と舞台設定とが全然合致してないせいで全てが薄っぺらい
漫画的なキャラなら漫画的なプレーや世界観を、リアルに寄せたいならリアルな人間関係を描くべき
{/netabare}

人を馬鹿にするか、人を脅すかでしかギャグシーンを作れず、サッカー描写はほとんどできず、なのに舞台設定はリアル寄り
もう全然笑えないし盛り上がれない出来だった