nyaro さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
戦記ものの醍醐味は、天才が少人数で大軍に打ち勝つことですね。
SFの顔をしていますが、完全に戦記ものです。実はSF設定はガバガバです。ですが、それは全くこの物語の価値を損なうものではありません。
そもそも宇宙ものなのに平面で戦う必要などありません。戦略面でも戦術面でも視聴者は騙されます。2つの大国がイゼルローン回廊、フェザーン回廊の2か所でしか航行できない、というのを力技で言い切っています。宇宙を平面として扱う。これがこの物語の最大の工夫と言えるでしょう。
光速移動や武器のスペック、通信方法などは科学的な説明はほとんどないまま、ゼッフル粒子だけはやけに出てきます。
ですが、帝国史や同盟の独立、そういった歴史を説明することで、こういったことが気にならなくなります。
つまり、中国とか古代ローマ、日本の戦国時代の人と馬が刀と槍と弓で集団で戦う話を宇宙でやる。そして、天才が用兵と計略を持って少数で大軍に打ち勝つ。戦記物の最大の醍醐味です。これをヤンとラインハルトはやってゆくわけです。特に本作はヤンの活躍を堪能する作品でしょう。
また、将とはなにか、権謀術数、貴族の腐敗なども盛り込まれており、完全に戦記ものです。それに美人を側室にとかも、もろ歴史ものですよね。
民主主義の主張が色濃く入っているのも特徴で、衆愚政治は現在のポピュリズムにもつながっており、今の社会について考えるきっかけにもなります。
なお、本作の最大の特徴は大迫力の超大規模な艦隊戦ですが、これも戦記物ならではで、戦記物の超大作では画面いっぱいに兵と馬が広がります。それを艦隊で再現しているわけです。
意外とこの、艦隊戦を映像で真面目にやっている作品って少ないんですよね。ハリウッドを含めてあまりありません。戦艦同士の戦いや局地戦はあっても艦隊VS艦隊の映像はあんまり記憶にありません。
なお、涼宮ハルヒの憂鬱のコンピ研の回は、これ(旧作でしょうが)をオマージュしているのでは、と思います。
リメイクで帝国のゴージャスな雰囲気はなんとなく無くなった気もしますが、旧作全部見てないのでわかりません。でも映像が相当いいので、やっぱり新作がいいですかね。
もちろん、原作は面白いですが、後半まあ、いろいろあって、モチベが下がるので、アニメ化大歓迎です。