nyaro さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
少女の成長を少年が見守る。壮大なSFスペースオペラの開幕
恒星間飛行ができることすら知らなかった星が征服され、そこの首長の息子であった主人公が、裏切りものの烙印を押されながらも帝国の貴族になります。帝国は遺伝子操作で宇宙に過適応した種族(アーヴ)で構成され、その皇女(正しくは皇孫女)であるヒロイン、ラフィールと知り合います。
皇女は無知故に自分を特別扱いしない主人公を気に入ります。この2人が敵軍から攻撃され、逃亡します。さて2人は…というのが、本作です。
皇女であるヒロインと主人公のアイデンティティの絡み合いで、2人の間に生まれる心の交流が見どころです。
本作は歪な貴族社会に纏わるドラマ、そしてその貴族に反発している既存の人類との軋轢が生み出す、人間ドラマと言えるでしょう。もちろん、SF設定の新鮮さも味わえます。逆に言えば、宇宙ものとしては本作では物足りないかもしれません。
2作目は宇宙での戦闘シーンもふんだんで、スペースオペラ感が強まります。この1,2作目は純粋に面白かったです。3作目は少し暗い話で人を選びます。
WOWOWの有料放送で、サンライズという事もあって、作画も音楽も非常に綺麗です。
なにより、ヒロインのラフィールのしゃべり方、「そなた」「するがよい」がいいですね。
また、全体を通じて、少しダークな雰囲気があります。今の彩度が高くコントラストが高いアニメに慣れていると、古く感じますが、SFの舞台として雰囲気はマッチしています。
本作の見どころは、ハードなSF設定です。結構前に見たので若干曖昧ですが覚えているところです。
1つ目。日本ではあまり問題になりませんでしたが、空間を飛び越えるワープは物理学の世界では否定されています(最近再び可能だというアイデアも出だしていますが)。したがってSF作家たちはワームホール(宇宙空間に空いた穴)を取り入れており、本作では日本のSFでは珍しくこのワームホール(平面宇宙を門をくぐって航行する、といい変えていますがほぼ効果は同じ)を採用しています。
この門という概念で、宇宙空間にパイプで繋がれたような航路があり、そこをめぐって、支配領域の攻防を他の4つの勢力と行っている、というのが本作の基本設定になります。
2つ目 アーヴという遺伝子操作された種族。空識覚という特殊な感覚をもち、宇宙船の操作に長けています。
また、長命で肌が青く、美男美女が多いのが特徴です。彼らは宇宙空間にしか興味を示さず、星系を支配しても宇宙空間の利用だけ考えており、地上には興味をしめしません。
3つ目 特殊な言語をわざわざ設定し(文字まで作ったそうです)、ナレーションでこの訳の分からない言語で説明が入ります。
まだまだありますが、SF好きな人は、2クールのアニメだと思って、本作「紋章」と次作の「星旗」をご覧になることをお勧めします。