二足歩行したくない さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
マーボードーフおまたせアルー
「Fate/stay night」 "Heaven's Feel"(HF)編、劇場版3部作の最終章。
本作で「Fate/stay night」のシナリオは(細かい分岐やタイガー道場などを除き)すべてアニメ化となりました。
私自身はゲームをプレイしたのがもう随分昔で、ストーリーはもはやほとんど覚えていなかったですが、見ていると"こういう展開あったな"と懐かしさがこみ上げてきました。
また、本作は登場する魔術師たちの思惑、非日常的な展開、認識外にある行動原理の応酬で、ごちゃごちゃしていてわかりにくい感じがありますが、テキストのみのゲームに比べるとビジュアルがある分、とても理解しやすくなっていて、情報を補足する意味でも非常に良かったと思いました。
前作のそのまま続きになっています。
まさか本作から見始める方はいないだろうと思いますが、前作のプレイバック等はないので、前作のストーリーを踏まえて見る必要があります。
また、UBWもそうでしたが、最後はTYPE-MOONの他作品と世界観がクロスオーバーされます。
より深く楽しむのであれば"空の境界"や"月姫"を先に見ておくか、あるいは本作をきっかけに見てみるのが吉と思います。
特にラストが、"空の境界"を先に見ていたので予期しないサプライズがあり非常に嬉しかったですが、知らない方が見ると理解できない終わり方になっています。
FGOで若年ファンも増えているFateシリーズの劇場版で、往年のファン向け、オタク向けのメッセージのようなものを受け取ったような気がしました。
アクションシーンは激しく、キャラクターも魅力的で、劇場版3作からでも見て楽しめる作品だと思いますが、いろいろ理解していればより深く楽しめる劇場版だと思います。
Fate編とUBU編では不遇の存在だったライダーさんが、最後まで大活躍します。
HF編がないとライダー = 序盤で死んじゃう無個性なサーヴァント(エロい服装のおねえさん)というだけのイメージになってしまうので、そういう意味でもHF編で語りきった感じがしました。
ただ、最後まで、ライダーと真・アサシンの真名について語られなかったのには、ちょっと驚きました。
真・アサシンの正体が明かされないと、最初に龍造寺山門前で、剣士からアサシンが出てきたわけがわからないのではないかと思うのですが、中東の情勢を懸念して、あえて公開しないままにしたのだろうか。
真・アサシンの正体や、前述のラストの展開、あと金髪の謎のサーヴァントが前作で桜に瞬殺されましたが、あの辺りなども含め、正直、劇場版3部作だけでは理解するのが難しい内容になっていると思いました。
できれば原作のプレイ、時間が取れないならせめてアニメでFate編とUBW編を予習しておくことをおすすめします。
また、サーヴァントたちのバトルロワイヤル要素が高いFate編/UBW編とは違い、HF編は魔術師たちの悲願、暗躍、願望を描いた、魔術師たちの物語です。
過去2作に比較して展開はわかりにくいですが、ここまで追ってきた方が見ると、幾重にも重なる壮大なサーガに必ず感動できるものと思います。
バトルシーンもすごかったです。
バーサーカーとアーチャーの片腕を持った衛宮士郎が戦うシーンなど、前作も凄まじかったですが、本作も、息もつかせぬ激しさでした。
月並みな言葉ですが、片方は人間であるのに、神話レベルの戦いだと感じるほどに圧倒されました。
ライダー・士郎vsセイバーオルタ戦も、ライダーが真価を発揮する素晴らしいバトルでした。
そうしたバトルの結果、アーチャーの魔術回路を受け止めきれない士郎が、ギリギリの中、桜の元にたどり着いた流れも、すごく良かったです。
「Fate/stay night」を締めくくるにこれ以上無い、素晴らしい作品でした。