かがみ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
惨劇の回避ではなく乗り越えとしてのループ
周知の通り、美少女ゲームにおいては通常、選択肢次第で異なったヒロインの物語に分岐していくマルチエンドシステムが採用されている。そこでプレイヤーは各エンドを回収する為、ゲームをクリアする度に最初の「共通ルート」に戻り、同じ時間軸を何度も延々とプレイする事になる。
そうするうちにプレイヤーはあたかもこの世界が果てしないループを続けているかの如き錯覚に陥ってくる。こうしたゲームシステムを逆手に取り、美少女ゲームにおいては物語/世界観のレベルでループ構造を導入する作品も少なくない。
そして本作もまた、こうしたループ構造の系譜に属している。第2期に当たる本作では第1期と打って変わり重苦しい展開の連続となる。そして土壇場でこの世界がループしている事が判明する。
もっとも、通常、美少女ゲームにおけるループが基本的にその先にある何らかの「惨劇」を回避するための手段であるのに対して、本作のループはむしろその「惨劇」を乗り越えて、さらにその先を生き抜くための手段として用いられるのである。そういった意味で本作は「セカイから日常へ」というゼロ年代後半におけるトレンドの変遷に対する美少女ゲームというジャンルからの優れた回答であったように思える。