TaXSe33187 さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
取捨選択の問題
舞台的に韓国の作品をアニメ化してるのかな?
ザックリ言うと高校生(年齢ではなく)を対象にした天下一武道会、優勝賞品はドラゴンボールフルセットみたいな感じ
正直なところ、序盤に関しては割と普通に楽しめそうな感じだった
1話冒頭の訳わからんyoutuberのストリートラップをバックにひったくり犯を追いかける展開は不要だし、
どういうルールでどういう選考基準かもわからない大会が最初っから大盛りあがりってなんだよってとこはある
ただ、「武術を使って願いを叶える」っていう根っこがシンプルなので置いてけぼり感はそこまでない
加えてアクションシーンの作画がしっかりしているので、「話は分からんけどアニメーションは面白い」という感じ
問題は中盤から
{netabare}なんかスタンド的な何かを使い始めたところから、動きの面白さで誤魔化せないくらい意味不明が加速していった
この辺から天下一武道会がシャーマンファイトにシフトしていって、視聴者もメインキャラ3人組も揃って置いてけぼりになる
「仙桃を食べてもピンピンしていた」みたいな思わせぶりなシーンもあったけど、結局それが何かはよくわからないまま
そこからはずっと意味不明を意味不明なままに展開し続けて、主要キャラが誰も真相に近づかないまま「俺たた」エンド
「何が起きてるか一切分からんけど、事実として起きちゃったから対処するしかない」みたいな空気が終始一貫してる印象
ただし、こんな状況でも作画のクオリティはしっかりしているから画面を追うだけなら退屈には感じない不思議な感覚になる
一つ一つの要素は定番の設定やイベントばかりなのに、それを繋ぐ部分が雑だったり取捨選択出来てなかったりが多い
そのために大筋は問題ないのに意味のわからない展開が続いていたり、スケールアップした展開なのに期待はずれだったりする
借力の部分についてもかなり曖昧で、神を巡っての争いという部分までは飲み込めても借力という力そのものがご都合すぎる
文字通り神の力を借りるという意味で考えると、死神と呂布とドラゴンとクラーケンと九尾の狐が全て「借力」となるのに釈然としない
最後の展開で降ってくる神様は大仏モチーフのようでもあり、やはりそれを神と数えることに違和感がある
東洋・西洋の違いならまだしも神と呼べるかどうかから疑問が生じるものばかりなのはやはり設定が甘いのかなと
九尾の狐に関する部分は東アジアの神話・民話を上手く使っていると思うし、
借力ではない「そのもの」の力を振るう斉天大聖というのも力の対比が出来ていて良いと思う
その分、根幹の設定に関わらないキャラクターの借力の練り込み不足が目立ってしまって全体のクオリティを落としている
シャーマンキングのように霊体ならなんでもあり、あるいは逸話から呼び出せるFateのような設定のほうが良かった気がする
音楽に関しては好みによるくらいのレベルで、特別悪いとは思わない
OPは個人的に好みの部類だし、映像も本編のものを取り入れて予選・本選で2種作っているのも好印象
ただしEDだけはちょっと微妙なライン
前半の予選部分ではしっかりと1話毎に戦いの決着がついて仲間と絆を深める形になるから曲調もあっていた
ところが後半の本選からは話が込み入ってきて深刻な事態の中で締めとなるため、直前のBGMとのギャップが大きい
この辺もシナリオ自体の脈絡のなさと展開のギャップが問題になる部分なので、これは一概に良い悪いは言えないかな
作画はアクションシーンの盛り上げが上手いので特に問題なし
鼻が赤いのが目立つので、引きの絵の時くらい色味は肌色に近づけてもいいのでは?と思うくらい
主人公の瞳がシイタケなのもそうだけど、原作のキャラデザに合わせた部分が違和感を生んでる気がする
シイタケ目自体は特殊な出自をもつ主人公ってことで問題ないとも言える
ただ、どんな場面でも瞳孔がシイタケだと表情の変化がつきにくく、修行パートでもボケーッとしてるように見える部分があった
まぁシリアスな場面などでは顔全体で表情を作っているので、致命的な欠点ってわけじゃないからやっぱり好みの問題かな
{/netabare}
総評としては「もうちょいシンプルに作っていれば…」ってとこ
特別悪い内容じゃないし、作画もよくて声優陣もしっかりした人を揃えている
なのにやりたいことを全部詰め込んだ話にしようとしたせいで全体が意味不明と曖昧で構成されてしまっている
「神之塔」のように全てが突飛ってわけじゃないから全然見れるけど、その分消化不良がものすごい作品だった