nyaro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ヒーロー像とは何かを、深く考えさせられる。
本編およびソードオラトリアは既刊分読了。第3期で本編12巻まででしょうか。シリーズ全体の感想です。
このアニメ、原作もそうですが、いつも思うのは主人公ベルクラネルが勝つ場面が見たいわけではないという事です。
私が見たいのは、彼が正義を貫くところがみたいのです。別にボロボロになって負けてもいいんです。ただ、彼が弱い存在を最後まで守ろうとする意思を捨てなければ。
そして正義を貫くために強くなろうとする意思。彼がこれを捨てないかぎり、というか決して捨てないことを信じて、彼を応援することができます。
無垢・純粋・謙虚・愚か・意思…そういった、いま、カッコ悪いと切り捨てられていることを彼は恥ずかしげもなく貫きます。
それ故に、フレイヤ様という最強の美神が見守り、アイズという最強の女剣士が導くわけです。神々も大衆も彼を応援するわけです。
今はあまり見ない、冒険をして正義を貫いて強くなる、というヒーローの本質をベルクラネルは体現しています。だから、劇中の登場人物も彼を見守り、導き、助けたくなるのでしょう。それはまた、視聴者・読者の気持ちでもあります。
だからでしょうか。結末にならなくても、作中の途中途中でワクワク、ドキドキ、そして、ホロリとするところが沢山あります。
この3期の最後の部分が現状アニメ、ラノベ含め一番好きな部分です。冒険者たちやアイズに逆らってまで正義を貫こうとした彼を、最後は大衆もゼノスもアイズもロキファミリアも皆が理解する、という彼のヒーロー像を象徴する部分だからです。よくある話なのかもしれませんが最高です。アニメは原作のいいところを上手く映像化してくれました。
そして、最後、黒いミノタウルスとの闘いの結末が、ああだったのも、ものすごく良かったです。彼がまた一つ強くなるだろうと、信じられるからです。1期のあのシーンがあるから余計そう思えます。
{netabare}1期はミノタウルスに恐怖を感じ何もできなかったベルが、アイズへの憧れをバネに強くなり、ベルのレベルでは不可能とされるミノタウルスを倒すという偉業を成し遂げる、というのがベースになります。
黒いミノタウルスというのは、この時倒したミノタウルスがゼノスとなって転生し、ベルとの戦いを求め修行を重ねます。ベートやティオネ、ティオナの姉妹を圧倒するほど強くなりましたが、アイズとの闘いで傷つきました。万全ではないからだでベルと再戦を果たし、最後ベルに打ち勝ち、ベルとの再再戦を約束し、再びダンジョンへと消えてゆきます。{/netabare}
「あの魔法」の場面、まあご批判はいっぱいあるでしょうが、やっぱり何回見ても泣いちゃうんですよね。それは魔法の結果ではなく、もしウィーネがあのままでも、ウィーネが幸せな気持ちになれたのは、ベルが正義を貫いた結果ですから。
{netabare} あの魔法とは生き返る魔法です。ウィーネが魔石を砕かれ、ベルの胸の中で「前は一人で怖かったけど、今度はベルが来てくれたんだよ」と、微笑みながら死んでゆきます。その後、フェルズの魔法で生き返るわけです。{/netabare}