nyaro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
SF的呪いの謎 体液の表現 生と尊厳の問題
考えるポイントを3つにまとめました。
SFの視点でいうと、呪いの謎ですよね。一見大気圧による減圧症のように見えますし、ナナチの説明ではこれのイメージですよね。ですが、血を吹き出すような症状となると、減圧症だけではなさそうです。時間の流れに影響があるようですので、力場の正体として重力あるいは時空間の歪みもありそうです。光も集められるそうですし。加えて、ナナチとミーティーの症状がありますが、ここでまったくわからなくなります。既知の現象ではないので、未知の次元と繋がっている(パシフィックリムみたいな)、か先史文明の実験施設ですかね。
当然、レグは先史文明の遺物ですよね。目的は、兵器なので、異次元からの怪物の進行を防衛するためとか。レグのエネルギー源も気になりますよね。
あの複雑な形の卵というのはなにか。誕生日で死ぬ?つきささっている船は?とかいろいろ考えますが、キリがありません。つまり、材料が出そろってない気がします。(私の洞察力がないだけなのかもしれません)
体液の表現の視点でいうと、あらゆる体液(性的なもの以外)が、特にリコから流れ出ます。始めは作者の性癖かとも思いました。鼻水、涙、血液、吐しゃ物、小便、血尿等々。これは相当のフェチじゃないとクリエータがここまで表現するかなあと思いました。
アニメというのは、クリエータが描きたいと思ったものしか画面にでません。実写と違い、あらゆる表現がクリエータの意思によって決まります。つまり、この過剰な体液表現は、何かを表したいわけです。
そう考えたときに、これは話が進む前に視聴者が自分でフィルターを掛けられるようにしてるのではないか、と思いました。甘い話じゃないから気をつけろと。リコのあの絵面に耐えられますか、と。
あるいは、ロボットであるレグとの対比で、生きるという事はこういうことだという表現かもしれません。
で、その生きるということとはという問題です。以下ネタバレにしておきます。
{netabare} ちなみに、こうやって分析的に描いていますが、ミーティの変化するところから最後、号泣でした。嗚咽しました。気が付いたら5分、10分経ってました。それくらいの衝撃でした。ぬいぐるみ並べるとか、一回止めるとか。あのぬいぐるみの量が2人が過ごした時間だし、ナナチがミーティをいたわり続けた証ですよね。ミーティーが始めに作ったぬいぐるみの上にいたのは偶然でしょうか?
ナナチはもちろん号泣しますが、その後、落ち着いたナナチが淡々としているのも胸にきました。
さて、このエピソードは尊厳死(※下に注記)の問題ですよね。どうなっても生きているほうがいいのか、人間としての尊厳を持って死んでゆくか。答えは出したわけですが、それは他人が判断していいのか。ミーティーは変化するときに殺してとは言っていますが。
リコの夢の中で実際はミーティーに意思の痕跡があった可能性をリコが語ってしまいます。せっかく折り合いつけたのに。いや、アニメでこれやりますか。
※尊厳死は脳死等になり意思の回復が不可能な場合、延命治療をすることがその人の尊厳をかえって損なうと思われるケースで、延命措置を止め自然死をさせるべきかどうか、という問題です。
延命治療=不死に置き換えて、自然死ができないので積極的に殺害するという逆転はしています。
この能動的な加害行為も本作の行為について問題を深くしてきます。ミーティーはリコの夢の中の話ですが、恐怖からの解放とか死ぬことへの憧れみたいな、安楽死的な要素もはいっています。この辺り、マイケルサンデルの哲学の教科書かよっていう内容ですよね。
また、リコの治療も別の意味で生きるという問題でした。腕を切り落としてでも生き残る、自分のいくべき方向に進む意思。また、最愛のパートナーの腕を切り落とす決心。
私はアニメが他のコンテンツに比べ知的水準が低いとは思ってません。したがって、こういう主張がクリエータにあっていいと思います。思いますが…ちょっと泣かせすぎです。
{/netabare}
ほかにも語りたいことはいっぱいありますが、この辺にしておきます。