狗が身 さんの感想・評価
3.2
物語 : 1.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
完走した感想。
映画の宣伝とかでよくある「ラスト10分、貴方の予想は裏切られる」的なキャッチコピーはこの作品にこそ相応しいと思う。勿論、悪い意味で。
ラスト10分までは、限られた尺の中に原作をよく落とし込めていた。
誇張が効きすぎてちょっとイメージから離れてしまったキャラもいるものの、ゲマなんかは想像以上に良く出来たキャラだった。
やはり全ての元凶は、監督渾身のアイデアであるVR設定。
言うまでもなく、視聴者が求めていたのは「ドラゴンクエストVの映像作品」であり、「ドラクエVを題材にしたSF作品」ではない。
SF作品として出来が良ければまだ納得のしようはあったかもしれない。でもその出来は到底褒められたものではなかった。
「バーチャルも一つのリアル」というのが本作のメッセージなのだろうけど、監督がウイルス側の意見の人間であることは観ていれば明らかだ。
だから主人公の反論に説得力が何一つなく、メチャクチャ雑。
本作におけるドラクエの世界はゲームであり、そこでのリュカは現実世界の主人公の性格がそのまま反映されている。
だから、仮に主人公がウイルスに対して「バーチャルも〜」と反論するのであれば、このバーチャルの世界で悩んだり苦しんだりしながら成長していく過程か、もしくは過去にゲームを通して大切なことを学んだことがあるだとかそういう理由が欲しい所なのだが、そういう描写は勿論ない。尺的な問題でダイジェストにするしかなかったのだから当然だけど。
そもそも敵側にしても「懐かしのゲームをVR体験できるゲーム」に侵入して「大人になれ」って言ってるのも場違いな上に的外れであり、不毛でしかない。
伝えようとしているテーマと使ってる題材がマッチしていないんだよな……。当たり前なんだけど。
ただでさえドラクエVのストーリーを100分に収めること自体がかなり難しいのに、オリジナル設定を盛り込んだってのが正気の沙汰じゃない。誰がこのアイデアと脚本にOK出したんだろう……。
原作をなぞった部分は悪くなかっただけに、もしもまた観る時があればその時はラスト10分前までで視聴を止めて「俺たちの戦いはこれからだ!」と打ち切り作品的な楽しみ方にしようと思います。