nyaro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
シェリルノームという歌姫の生きざま。
シェリルノーム。アニメの登場人物で数名のナンバー1候補のうちの1人です。
どん底から這い上がってきて、なお、貧しい心にならず、ランカに対して自分のところまで這いあがってこいと励ます優しさ。傲慢に見えて、実はそれはプロ意識から来ている。銀河の歌姫であることの孤独。祖国に対する深い想い。身近な人間に対する信頼。アルトへの恋心。文字通り命がけで最後まで歌い続ける。
ランカももちろんいいです。可愛いのは何といってもランカだし、アルトに対する恋心もいいですが、ランカがいいのは歌の使い方ですよね。アイモとかニンジンとか、最終回で愛おぼえていますか、もいいですが、自分を取り戻した時に流れるアナタノオト。インストゥルメンタルで入ってきたときにはゾクゾクきます。 {netabare} バジュラがここで一気に味方になるカタルシスは、もう本当にすごかったです。{/netabare}
この2人が歌う後半のOP。意味が分かると鳥肌ものです。本編のグラフィックの使いまわしはありますが、非常に美しいOP映像です。その他のOP、ED、挿入歌。どれをとっても1級品の出来栄えでした。
アルト、ランカ、そしてシェリルのキャラの作り方、グレースとかオズマとか周辺の人たちの性格造形も本当に個性が感じられて、決してモブではないので、かなりストーリーがちゃんと「人」を中心に動きます。
{netabare} さて、前半は、ランカが歌姫として成功してゆくストーリー、アルトがパイロットとして成長する、シェリルを絡めた3角関係が展開されます。
「ご存じ、ないのですか?」の星間飛行でシェリルと世代交代した後、ドラマはシリアスに向かいます。
シェリルはプロとしての矜持を、根底から叩きおられ、命が尽きることを悟りながらも、歌手で在り続けようとします。危機に陥った人々を慰めるために歌を歌う事で、再び自分を取り戻します(号泣)。
この間、宇宙怪獣?バジュラの脅威が船団に迫りますが、ランカの歌によりバジュラを制御できることが分かります。始めはそれでうまくいっていたのですが、シェリルとアルトが心を寄せていることを知ったランカは感情を乱し、バジュラを制御できなくなります。結果、不幸がおこりランカは、船団を去ります。ランカの穴を埋めるべく、最終決戦に臨むシェリル。だが…。{/netabare}
キャラクター達の心の動きを、2クールのSFアニメに落とし込んだ脚本と構成。丁寧に作りこまれたアニメーション。そして心の動きと上手く連動した2人のヒロインが歌う素晴らしい歌の数々。
マクロスの設定に縛られて、SF設定として甘いところはありますが、今回のマクロスはキャラクター達の物語が自然だし見ごたえがあるしで、全然気になりません。
そして、やはり、この話、シェリルノームという素晴らしい歌姫の生きざまを見るアニメなんだ、と思います。
言い忘れました。最終回の最後の15分はちょっと恥ずかしいです。いいんですけどね。