蒼い✨️ さんの感想・評価
2.9
物語 : 1.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
怖い。
【概要】
アニメーション制作:東京ムービー
1973年3月17日に公開されたオリジナル劇場アニメ。
監督は、高畑勲。
【あらすじ】
ミミ子は両親がいない小さな女の子。
たった一人の身内のおばあちゃんも長崎に出かけたっきり帰ってきません。
でも、ミミ子はちっとも寂しくはありません。
何故なら動物園から抜け出したパンダの父子と毎日楽しく暮らしているからです。
ミミ子のお家から動物園に仕事で通う大きくて力持ちのパパンダ。
ミミ子をママと呼んで懐いているコパンダ。
パパンダとコパンダと一緒に過ごせて笑顔のミミ子。
そのミミ子のお家に、二人の男性がやってきました。
何かを探してる様子の二人は泥棒?
二人の男性は大きなパパンダにビックリして逃げてしまいました。
男性たちが去っていって晩ごはんのミミ子とパンダたち。
でも、コパンダの皿からカレーライスが無くなっていたり、
他にも誰かが家の中にいるようです。
コパンダが二階にあがると、コパンダの小さなベッドから黄色いしましまの尻尾が。
小さな虎の子供がいたのでした。
【感想】
前作に続き、高畑勲&宮崎駿&小田部洋一&大塚康生ら当時の日本最強の制作陣。
後に巨匠監督と言われる高畑&宮崎の両氏ではありますが、
これは、純粋に見る人を楽しませるために作った子供向け娯楽作品。
啓蒙の道具としてアニメを扱い、アニメを見るのに高尚ぶった理由を求めて、
人間の汚い赤裸々な真実を描けだの芸術性だのインテリジェンスだの、
やたら理屈っぽいものをアニメに要求する視聴者が偶にいらっしゃいますが、
アニメで表現するものはTPO(時と所と場合)にもよるでしょう。
それがプロの仕事というものです。
このアニメの登場人物は大人たちはビクビク焦ったり怯えたり必死の形相をしている反面、
ミミ子たちはどんな状況でもポジティブ思考で常に笑顔笑顔で、とにかくメンタルが強い!
その鋼鉄メンタルのミミ子や可愛い?動物たちのイキイキとした日常の幸せな感じに当てられて、
視聴者が気持ちよくなってニッコリするのが多分、正しい楽しみ方なのでしょうね。
でも、前作に引き続き相変わらずキチってるなあ…というのが正直な感想。
ミミ子の唯一の肉親のおばあちゃんが出先で老人ホームみたいにくつろいでて、
いくら経っても長崎の法事から帰ってこないですし、
ミミ子の家にパンダの親子が居着いてるのは、
邪魔な老人を追い出して、
ミミ子とパンダ親子で水入らずの家族ごっこをさせるための無茶苦茶な設定。
漢字が書けない程度に幼い孫娘をほったらかしにして、
獣の親子が家に居着いているって、孫を心配してすっ飛んで帰ってくるでしょ?
なに安心してるの?おばあちゃん?
一部の動物が日本語での会話が可能なファンタジー色の強い幼児向けアニメですので、
突っ込んでも本当は無意味なのでしょうけどね!
「崖の上のポニョ」みたいに洪水で町が水没している災害を『素敵!』の一言で片付けたり、
コパンダとトラちゃんがいたずらで石炭をくべて機関車を暴走させて、
大人たちが大慌てで追いかけても力及ばず、町中の通りを猛突進しているのを、
やけに能天気過ぎる笑顔な反応の数々にミミ子たちキャラの感情が壊れている気がして、
アニメの雰囲気に癒やしどころかホラー映画以上に不気味で恐怖を感じますね。
色気づいたり賢しい子供をマセガキと呼んで否定的に扱い無邪気な子供を天使として尊ぶ、
昔の大人にありがちなエゴを元に作られた、メンタル最強な幼女キャラのミミ子らの明るさを、
親子で楽しむファミリー向けの痛快ほのぼのアニメなのでしょうけど、
大人を噛ませ犬にした話のミミ子や動物たちの能天気メンタルが浮世離れしすぎて許容できなくて、
個人的には可愛らしさや楽しさよりも気持ち悪さを感じましたね。
アニメにリアルが必要かと言えば作風に合っていればどうでもいいとは思いますが、
これは自分には全く合わなかったなあということで、これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。