退会済のユーザー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
多分同世代の人達のレビューが気合入りすぎ
珍しく原作既読です。
リアルタイムで作品を視聴していないのは1クールでまとまろうはずがないと思っていたからです。
このたび視聴してみて完成度の高さに目を見開きました。
時代設定が昭和なので、女の子をデートに誘うには自宅に電話して母(父)から取り次いでもらわなければならなかった(あるいは20時きっかりに電話するからでるようにあらかじめ口約束しておく)なんて作品にあまり関係のないことを書きだすと暴走モードに入りそうなのでできるだけ我慢して作品内容に絞って書きます(まあこの段落がすでに…)
この作品の一番凄いところは視聴者を退屈させないところだと思います。
だらだらねちねちだらだらねちねちしているので普通の監督が作ると欠伸が止まらず途中リタイヤ組続出のはずなんですよね。恋愛偏差値30代が2人いて、悪い意味で大人なので(ただのオクテ)思考するのも行動するのも遅い遅い。でもオープニングを削って作りだした尺で絶妙な間をとって、音楽をはさんで、情景描写をねじこんで、身振り手振りを入れて、自然な人間同士の対話を築き上げており、見ていられる。これこそが作品の高評価につながった点です。
ですから、悪女榀子(しなこ)にさえ我慢できたらおすすめできる作品です。容姿端麗、料理が上手、でも精神が…。イライラしながら見ていて、あるとき、これはもうかつての恋人の死によるPTSDで受診すべきなんじゃないかと思うほどになりました。具体的にどういうところかを書けばこれまた長くなるのでご自身で感じ取っていただければと思います。
最後にストーリーについて。晴の主人公への恋の動機は、まあ若いし目をつぶりましょう。でも主人公から晴への気持ちの変化のポイントがまったくなかったことは不満です。晴がずっと一途に、健気に頑張っていたのはわかりますよ。後から考えるとあのタイミングからは意識しはじめた、心を揺さぶられたという強いエピソードがなかったのが残念です。表現を変えると、こんなに涙腺がゆるくなった中年を泣かせるシーンがたったの一場面もなかったところですね。
かなり久しぶりの高評価、しかし名作ではなく佳作ってところです。