nyaro さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
良質のハードSF宇宙アニメ。青春恋愛学園家族もの、でもあります。
みずへび座βの超新星爆発によるガンマ線バーストで地球の人類が滅亡に瀕しました。しかし、そこから立ち直った人類は、ガンマ線バーストに遅れて襲ってくる超新星爆発の衝撃派(セカンドウエーブ)に立ち向かうべく準備を進めている、という話です。
このアニメの放映された2003年というは、ふたつのスピカ、プラネテスと設定のしっかりした宇宙もののアニメがラインナップされた年のようですね。この2つよりはSFのF(フィクション)要素が強いですが。そして2クール目は更にSF要素が強まりますが、ネタバレになりますので割愛します。
この年代のアニメなのでAIと通信デバイスの発展について、設定が追い付いていないことは大目に見るべきでしょう。
また、キャラクターの目がかなり大きい時代で、受け入れられない人がいるかもしれません。ハルヒよりも極端なくらいです。プロポーションも今のアニメほど完成度は高くないです。
セリフ回しがなかなかいいですね。練られている感じがします。間もいいし、ユーモアもあるし。脚本がいいのでしょう。
CGのレベルの制約で主役機はカッコよくはないですが、それがリアリティを出しているともいえます。
重力制御技術が実用化されているけれど、民間にはそれほど広がっていない世界。セカンドウエーブに対抗するために人類が一致団結して、グレートミッションを推進している、ただ、グレートミッション後の各国の利害が見え隠れしており、次世代の兵器開発が進んでいる、そんな世界観です。ただ、派手なドンパチは期待しないほうがいいでしょう。
コンピュータのインターフェイスが個人の感覚に依存しているような表現が面白いですね。プログラミングも幾何学的形状を組み立てるような不思議な様子でした。個人用のPCはノートパソコンの延長のようなデザインでよく考えられていますが、やはり、当時の発想です。そういうところが逆に楽しめます。
ハードSFでもありますが、家族愛、恋愛、嫉妬、劣等感、友情についても片手間でなくちゃんとストーリーとして組み込まれています、と言いますか、それが本筋ともいえます。時にそれが暗いエピソードになってゆきますが、学園もの、という要素を活かして青春アニメとしても楽しめます。
第1クールだけで充分面白く、特に10話はSFアニメとしては、相当の出来です。エピソードだけならハリウッド映画でもこれ以上の見せ場はめったにないでしょう。
2クールでも、なんかスケールが小さくて時間潰しに見て「ああ、面白かった」という程度のストーリーではありません。密度が濃く、ストーリも練り込んであります。
とにかく面白いです。ハヤカワの厚めの文庫上下を読んだくらいの充実感がありました。
OP、EDとも歌が心に残ります。歌い手さんは良く知りませんが、いい曲です。