nyaro さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
深夜アニメの金字塔というのにふさわしい。(ハルヒの凄さを追記しました)
1期を放送順(WIKIなどに載っている)で見た感想です。また、とりあえず、2期のエンドレスエイトの事は忘れたほうがいいでしょう。この作品を過小評価することになると思います。
絵柄は少し古臭いですが、緻密な作画、演出、音楽は素晴らしいです。
この作品の偉業は調べればいろいろ出てくるので語る必要はないと思います。
感想としては、アニメの放映順で、第1話朝比奈ミクルの冒険と最終話サムデイインザレインは、当時のノリではよかったのでしょうが、後付けですと厳しいですね。
とにかく、文化祭の回と、長門が戦う回は必見ですし、コンピ研の回も盛り上げります。世界中で流行ったエンディングのダンスも素晴らしいですし、何より本筋の6回分の「涼宮ハルヒの憂鬱」のストーリーがいい出来で、SFとしても、部活ものとしても、ちょっと飛びぬけています。今のアニメでこのストーリーに匹敵するものはどれだけあるか、というくらい面白かったです。
当時の京アニの遊び心はさすがと思います。ゴールデンタイムのメジャーにぶら下がるのではなく、深夜でマイナーの雄として輝いています。あんな事件はありましたし、声優さんもいろいろあったみたいですが、「涼宮ハルヒシリーズ」の続編を1期を超えるクオリティーで作って欲しいものです。
追記 涼宮ハルヒの何がすごいのか。京アニのNO1作品に推しましたので若干加えます。私見ですけどね。なお、完全に1期推しです。2期は笹の葉だけ認めています。
ストーリーは、SFとして「時間」の概念の使い方が上手いのはもちろんです。ハインラインの「夏への扉」など作者の古典SFの造形の深さを感じます。伏線の張り方が秀逸な上に、それをさらにシャッフルという手法でメタ的に更に謎を作った部分で面白さが倍増しました。
「萌え」と「ツンデレ」という言葉が一般化したのが、2005年から06年と言われていますので、それを体現したハルヒというキャラの秀逸さですね。私は長門派ですけど。まあ、綾波のパロディも感じますが、何よりヒロインたちの性格の役割分担を確立したのも本作ではないでしょうか。この役割分担はらき☆すた、けいおんを経て今の日常系につながっています。
「部活もの」で閉じた空間に仲間とだけ過ごす時間の心地よさがあげられるでしょう。親や大人が出ない物語として、マインドとしては日常系はもちろんですが、異世界もの原点ともいえると思います。エヴァ以降世界系の意味がねじ曲がって行きアニメが腐ってゆく中、「世界の中心で愛をさけぶ」とか泣きゲーなどの頭を空っぽにして泣くしかないという袋小路に風穴を開けた作品でもあります。
また、ブロードバンド、つまりネットの通信速度の進化とともに、情報を共有しアニメについて語り合うという即時性が出てきたことも挙げられるでしょう。シャッフルのおかげで考察とも相性がよかったし、EDのハレ晴れは世界を席捲しました。
ディープなオタクが夏冬のコミケでしかできなかった、2ちゃんねるの次、動画と連動した新しいオタク界隈のコミュニケーションの幕あけと言えるでしょう。ユーチューブや特にニコニコ動画にMAD動画を始め参加型の楽しみ方を提供してくれました。初音ミク登場の下地を作ったともいえます。その意味では米津やバンプを生み出す遠因になったともいえるでしょう。
本作の広がりは社会的影響というには範囲はオタク界隈でとどまっていますが、その深さが尋常ではないということです。その後、今に至るまでオタクとしてアニメ、特に深夜アニメとどう接するかという作法を作ったといえるでしょう。
メディアミックスで、声優のアイドル的な扱われ方が本格化したきっかけでもあります。平野綾さんから水城奈々さんの流れが、アイドル声優=歌で、アイドルアニメにつながっているとも言えます。飯島真理さん以降、本格的な声優歌手は出ていませんでしたが、ここから爆発したと思います。
ラノベですね。部数的には上位に来るコンテンツは沢山ありますが、「驚愕」の初版発行部数は今だ破られていませんし、なにより「再販」ではなく「書店買取」というすさまじい発行のしかたです。これは鬼滅ですら達成できていません。当時の角川の株主総会は、ハルヒの続編はいつでるんだ、という質問で罵声が飛んだそうです。
なお、ラノベ版はアニメ以上にストーリーが面白いです。でなきゃあ、ここまでヒットしなかったでしょう。
何より今でもなお、ハルヒってどこが面白いの?という疑問がネットででることです。つまり、16年経ってなお、誰かが「ハルヒは名作だ」と語っているということです。
もちろんアニメには好みがあります。3、4割の人が面白いと感じるなら相当面白いんだと思います。ですので、つまらないという意見は当然だと思います。ニコニコ創成期的な時代の盛り上がりがないですし。
ということで私はちょっと時代がズレて視聴しましたが、この頃の出来事は知っています。思い出補正は否定しません。ですけど、やっぱり改めてこうやって書き連ねるとハルヒは歴史的な意味がある作品だと思います。
再追記 久々にライブアライブを見て思い出しました。演出の凄さですね。
この作品の26話 ライブアライブで裏でハルヒたちがどうやって動いていたかが描かれているの、気が付きましたでしょうか?
3分30秒過ぎぐらいの下駄箱のシーンって裏でバンドメンバーがもめていてそこにハルヒが通りかかる。
4分38秒くらいでバンドのメンバーが焦って走っているシーンがある。
7分29秒でハルヒと長門がギターを持って走っている。
というシーンが作画されています。
かつガラガラの体育館だったのに、雨が降って外の生徒たちが避難がてら体育館に集まって満員になります。ハルヒのパワーですね。
で、演奏ですが、うしろのベースの子の表情の移り変わりを是非ご覧下さい。緊張していて周囲が見えていなかったのか、ハルヒたちが演奏することに納得がいかなかったのか、初めは暗い表情でしたが、最後はお客さんの反応を見て明るい表情になります。
こういうアニメの中の演出と遊び。これがあるとアニメが2倍も3倍も楽しめるんですけど、こういう作品他にあるでしょうか?