nyaro さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
何かを失うことで強くなる。
不思議な世界観。しかし、きちんと計算された緻密な設定が見え隠れします。
宝石と月人とアドミラビリス、すなわち、骨と肉と魂に分かれた人類の未来。この3つが何を象徴しているのかが、物語の行き着く先の1つとなるのでしょう。
アドミラビリスは人をだませ、性別が明示されています。宝石は無垢で、性別がはっきりしません。1人称は『僕』3人称は『彼』で、腰は女性的ですがそれ以外のフォルムは少年。月人は聖なる仏像の形をしているのに好戦的で、それと戦う宝石のトップである金剛先生が僧侶なのも面白い謎です。
しかし、何より大事なのは、役立たずのフォスフォフィライトは、記憶と引き換えに身体を欠損するたびに強くなってゆく、というところでしょう。 フォスフォフィライトが2回目に欠損を補うときに金と白金を使いますが、それがまるで金継ぎのような印象を与えます。
また、それぞれの宝石たちも強みと同時に毒をまき散らす、硬すぎる、冬しか行動できないなど、弱みを持っています。
失うことを恐れてはだめ、誰でも欠点を持っている、ということを理解しないと成長できない、というメッセージだと思います。
アニメ版になって、難解な部分が分かりやすく、美しく表現されることで、考えなければならない謎の深さが際立ちます。
美しいだけでない、設定も物語の深みも楽しめる、まれにみる良作でしょう。