でこぽん さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
I have a dream の意味するもの
『イヴの時間』 それは喫茶店の名前です。
但しその喫茶店では、人間とアンドロイドを区別しません。平等に扱います。
そして、多くのアンドロイドが、心の癒しを求めて、この場所に集まるのです。
斬新な発想の物語であり、思わず引き込まれます。続きが見たくなる映画でした。
この映画では、『アンドロイドに心がある』という前提があります。
それでは、心とは何でしょうか?
とても難しい問題で、明確な回答ができる人はいないと思われます。
そして、アンドロイドに心があることを証明するのは、確かに難しいことです。
では逆に、アンドロイドに心が無いことを証明することはできるのでしょうか?
実は、これも難しいことだと思います。
だって、心とは何か、だれも明確に答えられないからです。
この物語のエンディングは、Kalafinaが歌う『I have a dream』です。
話は少し脱線しますが、
『I have a dream』
これはアメリカのキング牧師が残した有名な演説のタイトルです。
キング牧師は、黒人差別の撤回をとなえてノーベル平和賞を受賞した人です。
実はアメリカでは、1956年までは、黒人差別が法律で公然と認められていたのです。
例えば、バスの座席に座っている黒人は白人が乗車すると席を譲らなければ逮捕されていました。
学校やトイレ、プールなどの公共の場でも、黒人差別は法律で認められていたのです。
キング牧師は『非暴力主義』で民主化運動を推進し、アメリカ中の黒人の心を一つにしました。
そしてワシントンでの20万人を超える集会で演説したのが『I have a dream』です。
その一部をかいつまんで記載しますね。
『私には夢がある。
全ての人は平等であるというこの国(アメリカ)の基本理念が、真の意味で実現することを…
私には夢がある。
いつの日か奴隷だった人の子孫と奴隷の主人だった人の子孫とが友愛のテーブルに一緒に座ることを…
私には夢がある。
いつの日か私の子供たちが肌の色ではなく人格で評価される国で暮らすことを…
…』
今回、エンディングとキング牧師の演説とが偶然(?)にも同じタイトルでしたが…
もしかして映画監督さんも、人間とアンドロイドとが平等に語り合う世界を夢見ているのかもしれませんね。