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退会済のユーザー さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
GRIT
JKが何かやるやーつー。バンド編。
ブシロードのソシャゲアニメなのでいつもの萌えアニメとは文法が違う。
Poppin'Party
戸山 香澄/Vo&Gt
山吹 沙綾/Dr&Vo
市ヶ谷有咲/Key&Vo
牛込 りみ/Ba&Vo
花園 たえ/Gt&Vo
アイドルアニメの亜種ではあるがトップを目指す!みたいなスケールはなく、いちライブハウスでデビューするまでというなんともこじんまりしたお話。やりたいことがないところからそれを見つけ、同じ目標を共有する仲間を得て、初めてのステージデビューを飾るまで、というミュージシャンのキャリアの中では本来ファンが見ることの出来ない期間をじっくりと見せてくれる。メディアミックスプロジェクトでもなければ実現が難しい構成だと思う。
同じブシロード製の『D4DJ』の主人公『相本りんく』を遥かに超えるポジティブモンスターに映る香澄。周囲を猛烈な勢いで巻き込んでいくさまはいかにもアニメチックではあるが、一大ビッグプロジェクトの絶対的センターを担うに相応しい実に主人公たる振る舞い。
それは第3話のきらきら星。
バンドの到着遅延で場を持たせるためステージに上がる香澄。
この情報だけ知ってました。なんかすごいらしいと。せいぜい下手くそなギターを演奏するのかと思いきや、まさかの独唱。度肝を抜かれるとはこのこと。自分はここで完全にヤラれました。あの場面で動いたとして香澄には何のメリットもないわけです。ああやって他人のために動いて自ら恥をかける人って心の底から尊敬します。あれが許されるのは知名度のあるグリグリメンバーレベルの人間。しかしああいうトラブル対応スキルはまた別の話で、その場にいても実際厳しかったと思います。それをステージ経験もない、演奏も出来ない、歌う曲もない、そもそもこれまで客ですらないまるっきり部外者であるはずの香澄が今にも倒れ込みそうに足をガクガクと震えさせながら、バンドの曲ですらない『きらきら星』をアカペラで歌う。やる理由なんか一つもない。出来ない理由しか見つからない。あと○○分時間を稼ぐといった目安も無い完全な負け戦。自分に出来ることなんか何一つ無い。それでも他人の為に『戦った』香澄はめちゃくちゃカッコよかったです。ここでもう彼女らの行く末を見守ろうと思いました。実際やれば蹴り倒されて引きずられて即退場永年出禁かもしれませんが、これアニメですから。
原作者の中村氏は実際にバンド活動していたらしく、助けたことも助けてもらったことも多々あるのでしょう。自分の体験からの発想を得たこのエピソードで香澄の人間像を表現したかったのだと思います。バンド活動ではこういうトラブル解決スキルって希少な能力なんですよね。バンドを続けていく上では演奏スキルよりも大事だったりする。ただ実際こういうトラブルに遭遇したこともなく、誰も頼れない場面で自身の真価を問われるという経験が無ければお寒い場面に映るのでしょうか。そう言う意味では中村氏の計算ミスですかね。どちらかと言えば香澄を無理やりステージに立たせたい為の演出でしょうから。
図らずもステージデビューを果たしてしまった香澄は、この原体験により「もう一度あの場所に立ちたい」という誰もが納得できる強烈な動機が出来たわけです。強引に実際にステージに立たせてしまうというこの3話は、ロボアニメで言うなら無理やりロボに乗せてしまうようなものでしょうか。違うか。
あとはまあオーソドックスなお話でした。2期制作も初めから決まってたのでしょうから、尺はじっくり使えたはずですが、それでもちょっと詰め込んだ感がでるほど丁寧に、テンプレキャラがテンプレ話を粛々と。
しかしドラムの設定は卑怯だがよう考えたな。一番困るのよね人口いないから。ギターは腐るほどいるけどドラムは掛け持ち必須なほどに希少種。『じつは昔からやってましたテヘペロ』これはやられた。過去の話はともかく、蔵で練習って便利すぎ。中村氏も実際蔵で練習してたらしい。でなければ思いつかんよな普通、蔵って。蔵でなければいつものありがちな富豪キャラを用意せねばならないからこれはナイスな設定。蔵羨ましい。自分が高校生の頃は電子ドラムもなかったし、ドラマーの家は決まって山の上だったよ。続けられる環境にいる奴しか続けられないから。現代はいい環境だよなあ。そりゃあ若い子みんな上手いはずだわ。
完全な萌えアニメである『けいおん』や『アイマス』、『ラブライブ』に比べてアニメ芝居とアニメ歌唱はそこまで濃くない。キャラもテンプレ踏襲ではあるがちょっと弱め。あくまでメディアミックスコンテンツとしてライト向けなチューニングなのでしょうか。アニメに興味ない方からすれば全部見分けつかないでしょうけど。
曲は実際演奏するって凄いって思います。でも力量的に演奏可能なレベルにするためにアレンジが微妙。2期3期になれば上手くなってて聞き応えのある曲も増えるのでしょうか。自分的にはただの本末転倒にしか思えませんが、それもこのコンテンツの楽しみ方なのでしょう。