ぽに さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
肝心の自転車描写が……
原作未読。
自転車を扱った作品と言えば、「弱虫ペダル」や「ろんぐらいだぁす」があります。前者はバリバリの競技自転車(ロードレース)、後者はロングライドに特化した内容です。
一方、本作は立ち位置がハッキリしません。鎌倉の観光案内がメインテーマではないかと思うくらい、自転車の扱いがぞんざいに感じられます。
自転車描写で一番不自然だったのは、ナイタークリテリウムです。
{netabare}ナイタークリテリウムでは、先頭の熊さんに追いつくために自転車部と一年生のモブ数人と協調します。しかし、何故かモブの一年生が全員発射台になっており、早い段階で自転車部だけが生き残ります。
いやいや、それはおかしい。
確かに、異なるチームに所属する選手同士が協調することはロードレースでよくある話ですが、それはお互いにメリットがあるときに初めて起こりえることです。この場合、全員が一致団結してローテーション(先頭交代のこと)を組んで熊さんを追走し、全員で追いつくというのがお互いにとってメリットのある行為です。
しかし、実際は一年生モブが全員自転車部達の発射台になっています。こんなことをしては、一年生モブ側に何のメリットもありません。君達、なんで自己犠牲して発射台になっちゃったの?
素人だからロードレースのことをよく分かってない、と言うことで一応の説明はつきますが、そう言う無駄な要素は物語に不要です。
もし、これが原作通りの展開だとすれば、原作者も脚本家も全くロードレースが分かっていないことを自白しているようなものです。
だいたい、このプロットは自転車部としての結束を強める、というのがテーマですよね。ロードレースはチーム競技であるということを協調したければ、圧倒的な「個」の力に対してトレインによる「チーム」で対抗していくというプロットが効果的です。
結局、最後は主人公の「個」の力で勝ってしまっているので、主張したい内容が半減しています。もったいない。
{/netabare}
プロットはご都合主義の極みです。特に主人公がロードバイクを手に入れる経緯は……。
{netabare}まぁ、パーツが余りまくってるからちょっと声をかければ1台分くらいすぐに揃うというのは、あながち嘘ではありません。知り合いとパーツを融通し合うことはよくあります。とは言え、ガチレーサーは金策に余念がないので、見ず知らずの人にタダで手放す人はなかなかいないと思います。もう少し説得力が欲しいですね。{/netabare}
総じて描写が中途半端な作品。自転車に興味がある人は「ろんぐらいだぁす」をおすすめします。