なばてあ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
孤児院のリタ・ヘイワース
原作未読。ただ、原作のストーリィが良く出来ているのは言わずもがな、誰でもわかる。
それを超えて、アニメの出来としてすばらしいところを賞賛せずにはいられない。サスペンス的効果を最大化するための演出がとにかく秀逸。カット割り、カメラアングル、レイアウト、音響、作画、それぞれの仕事が合わさることでそれぞれが突出すること無く後景へと下がり、ストーリィが前景へと押し出される。没入感がすごい。
とりわけ、作画。CloverWorksなので、まったく心配していなかったけど、案の定すばらしい。京アニ、シャフト、TRIGGERみたいな突出した個性や技倆で魅了するわけではないけれど、過不足の無い、深夜アニメとして「ちょうど」なクオリティで、じつに味わい深い。屋敷の中が舞台になることが多く、背景美術が基本、静止画で問題無かった点も大きいだろう。最終話、峡谷の上をたなびく白い三本の紐の動きは、至上の美しさ。
とはいえ、それは逆に、レイアウトの重要さが増すと言うことだけれど、部屋のなかでベッドやテーブルとキャラクタの位置関係など、まるで良質の映画を見るかのようなアングルで、さすがわたしの贔屓にしてる神戸監督だと思ったことだった。神戸さん一流の、作画カロリーの高いカットが時折挟まり、そこで控えめながらも玄人っぽい労作の作画が見られて満足すぎるくらい満足。
わたしが唯一苦手だったのはキャラデ。初見時は最後まで苦手で、なんだか、ディズニーと萌えアニメのハイブリッドモンスターっぽい印象があって。キャラの性格はもちろん何の問題もないどころか、むしろすばらしい。ただ、ひたすら見た目がつらかった。でも、二度目の通し見で、このキャラデはほかに似ている作品がまったくなく、その意味でオリジナリティがあるので、まあすごいのかもと思えるように。
エマの諸星すみれさんは好演。なにより、レイ役の伊瀬茉莉也さんがすばらしすぎる。演技が安定していて、声音もじつに聞かせる。少年役の伊瀬茉莉也さんが出ずっぱりというだけで、アニメ史上屈指の価値がある。ノーマン役については、ごめんなさい、世評ほど高い評価はできない。もともと苦手なんだけど、やっぱり苦手。どうしても薄っぺらく聞こえる。あと、イザベラの甲斐田裕子さんはMVP。
ともあれ、幸せな作品だと思う。2期の評判が散々なので、見るべきかどうか、迷ってるところ。仕事とあれば見るのだけれど。この迷いは原作を読むタイミングとも関わってくる。ファーストコンタクトは大事。さて。
あ、最後に。アニメ史において『{netabare}僕だけがいない街{/netabare}』とあわせて、ひとつのカテゴリを打ち立てたのがこの作品だと思う。アニメでも丁寧に作れば上質のサスペンスになることを証明した、労作。りっぱだと思う。
衝撃:★★★☆
独創:★★☆
洗練:★★★
機微:★★
余韻:★☆