剣道部 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
無関係、無秩序に並んでいる点と点を結んだら、1つの絵になっているような快感
[文量→中盛り・内容→推薦系(ネタバレ無し)]
【総括】
ジャンルはミステリー。ネタバレ厳禁系ですね。
ミステリーアニメは、個人的にはかなり打率低いのですが、本作は、これまでに観た純粋なミステリーアニメでは1番面白かったかもしれません。
とりあえず、最終話まで観てほしいです。後悔はしないと思います。
【視聴終了(レビュー)】
恩田陸さんの小説に、「ドミノ」という本がある。
東京駅を舞台に、無関係のはずの27人と1匹の行動が、全て偶然に影響し合い、ラストシーンでは、まるでドミノが倒れるように、一気に事件が解決に向かう。
無関係、無秩序に並んでいる点と点を結んだら、1つの絵になっているような快感。
本作でもそれを感じた。つまり、上質のミステリーアニメだということ。
それからもう一つ。
本作は上質な人間ドラマだ。
私は時々、見知らぬ街を散歩することがあるのだが、ある時ふと思った。
「この街に暮らす全ての人が、その人の人生においての主人公なんだよな」と。
私は私自身の人生を、それなりにドラマがあると思っていた。悩んだこと、苦しんだこと、成功したこと、失敗したこと、乗り越えたこと。ぶっちゃけ、そんじょそこらの奴より俺の方が濃い人生送ってきたよな、という、漠然とした、何の根拠もない自信。
でも、よく考えれば、「多分全員の人生にドラマがある」のだ。皆、その人なりにドラマチックな人生を歩んでいる。
見知らぬ街の、見知らぬ人の全てに、その人だけのドラマがある。そう考えると、自分という存在がどれだけ小さいのか、特別でないのかを強烈に実感させられ、なぜだか、、、気持ちが悪くなった。
と同時に、この世に命が満ち溢れていることを知り、世界を美しく感じた。
実に、20歳の夏の出来事である(笑) 流石に今は、そんな青臭いことは感じなくなったが(笑)
まあ、この極々個人的な体験に共感される奇特な方がいるかは別にして、本作に登場する人物は、「みんなその人の人生を生きてきた」「だから、あんな風に考え、あんな風に行動したんだな」という納得感があったのだ。キャラがキャラじゃなく、生きた人物なのだ。
このように、1話1話は完璧な人間ドラマとしてのクオリティが高く、それらが連なると本格ミステリーの気配がする。だのに、敷居は高くなくサラリと見られる。
年に1、2作品しかつけない☆5を付けた理由である。