なばてあ さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ハイブリッド感と二番煎じ
テレビのシリーズとしては4期、原作のストーリー区分では3期になる。ようやく本編がスタートといった趣。評価は前作までのそれよりも高くなる。
ここに来て、ようやくいろいろ本気を出した原作者、という印象。21世紀以降のポップカルチャーを支えるデータベースからさまざまなガジェットを取り出して、Fate世界のマトリクスで配置していった感。いろんなマンガ、たくさんのアニメの参照がそこかしこに見えて興味深いのはたしか。わたしは『{netabare}HUNTER×HUNTER{/netabare}』っぽい要素を見つけたけど、・・・たぶん、合ってる。
・・・というように、初手からそういう幕裏というか楽屋裏の構造が見えてしまうのがFate本家とちがうところだと思う。これはもちろん褒めてはいない。褒めてはいないのだけれど、そんなに貶してもいないつもり。Fate世界のマトリクスを使いつつ、Fate世界から離れなければいけないという二律背反に挑むプロジェクトととらえるなら、その答案としてかなりの点数をたたき出していると思うから。
・・・とはいえ、前作までの、ネタとして敢えて「魔法少女モノ」というカテゴリでがんばってますんで的ノリをいよいよ捨てた今作は、ガチ批評をかわすエクスキューズも失っている。その線で言わせてもらうとすれば、やはり、軽くて、ちょっと、弱い。Fateモノとしても、魔法少女モノとしても。後者は当然『{netabare}魔法少女まどか☆マギカ{/netabare}』が参照項となるのだけれど。
でも、このいろいろなレベルで、ごった煮ごちゃ混ぜのハイブリッド感はキライじゃ無い。二番煎じとしては上質だと思えるし、きょうび、二番煎じじゃない表現なんてどれほどあるのかと考えると、これはこれでアリだろうと思わざるをえない。ただ、BGMの『Emiya』がここぞというところで流れるけれど、あれはやっぱりズルい。『Emiya』をうまく使われるだけで、結局合格点を与えてしまいたくなるのが、月厨の弱み。
あと、驚嘆すべきは、この本編が始まるまでのプロローグの長さ。たぶん、連載に人気が出なければここまでたどり着けなかっただろう。最初からこの展開を考えていたのかどうか、疑ってしまうレベルで、遅れてきた本編と言える。また同一の長く続くタイトルで、ここまで物語がギアチェンジするのも類を見ない気がする。正直、ある程度のファンを切り捨てる覚悟がないとこれはできないだろう。もちろん、月厨としては待ってましたではあるけれど。
そういう意味では、『FGO』の例を出すまでも無く、月厨の忍耐は折り紙付きといえばそうなので、それを当て込んだプロジェクトなのかもしれない。ここまで考えると、なんだかとってもあざとい作品に思えてきて、メタなレベルで魔法少女の手のひらで転がされるイイオトナの悲哀をかみしめたり。
衝撃:★★★☆
独創:★★
洗練:★★★★
機微:★★☆
余韻:★★☆