ぽに さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
掘り出し物見つけた。キャラは立っている。
女子の野球選手を初めて扱ったアニメは、恐らく「野球狂の詩」でしょう。しかし、女子チームにスポットをあてたのは本作がパイオニアじゃないでしょうか? 間違ってたらすみません。
物語を要約すると、前半は「ラブライブ!」のようなメンバー集めプロット、エロゲー原作アニメの恋愛三角関係展開みたいな感じです。後半の展開に古くささはありますが、私は好きです。面白いと感じました。
タイトルは「プリンセスナイン」ですが、チーム構成が9人+マネージャーなので、10人の女の子の物語です。才能に溢れたエースピッチャー(主人公)、主人公にライバル剥き出しのお嬢様、体は大きいが気が小さい捕手、元陸上のスプリンターなどなど、個性豊かな女の子達が「甲子園」を目指して奮闘します。
ここで大事なのは、彼女達が目指す甲子園というのが女子大会ではなく、正真正銘本物の甲子園だと言うことです。
現在、野球協約によって女子選手が出場することができない全国高校野球選手権大会ですが、この物語はその辺もちゃんと反映しており、女子選手が大会に出場出来るように協約改正するか否かというシナリオが含まれています。
主人公の早川涼は、野球のセンス以外は普通の女の子であり、各シナリオでは素直に感情移入の出来るキャラクターです。その点に不満はありません。
問題はチームメイトでライバルの氷室いずみ。かなり我が強く、一見すると非常にわがままで、イライラさせられるキャラになってしまっています。もの凄い努力家ですし、実は仲間思いでもあるのですが、印象を好転させるには不足でした……。もう少し性格を柔らかくして普通のツンデレキャラだったら、今でも視聴に耐えうる話だったのになぁと残念でなりません。
1998年といかんせん古い作品ですので、現代にはそぐわないプロットであることは否めません。もしこの作品が今制作されたら、「球詠」や「八月のシンデレラナイン」がそうであるように、恋愛要素はバッサリカットされてワンクールになっていたでしょう。
野球描写に関しては、ほとんどテクニカルな描写はありません。何せ、主人公はストレートしか投げませんので(変化球も投げられるがキャッチャーが取れない)。配球がどうこうという話を期待すると馬鹿を見ます。
ただ、「巨人の星」から始まった魔球が登場するファンタジー野球から、「メジャー」「おおきく振りかぶって」に至るリアル野球の間に存在するこの作品は、野球が好きな方であれば一見の価値があると思います。