剣道部 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「人」が死なない?戦争
[文量→大盛り・内容→考察系]
【総括】
あまりネタバレしたくないので、詳しくは書きませんが、作画がよい戦争アニメで、わりとシリアスもあり、制作サイドが力を入れて作っている良作です。
レビューでは、大分批判的な視点書いていますが、最後にはちゃんと誉めてますので、ご安心を(笑)
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
1話目を見た段階で、本作のテーマを「無人機(AI)による戦争の是非」と思ったけど、2話で、人種差別や代理戦争がテーマだとわかった。
評価としては、
①作画は美しく、よく動く。
②ドラマは安易な部分もあるが、次話への引きがあり、及第点と言える。
③設定にはやや無理があり、SFとしては厳しい。
おそらく、①を否定する人は少なく、②は賛否が分かれ、③は多くが疑問を抱くところ。
例えば、(富野)ガンダムでは、まずテーマと世界の構築があり、その上に物語がある。スペースコロニー、ミノフスキークラフト、軌道エレベーター。科学技術の発展を見越し、違和感のない世界を創造した上で、「この世界で彼らは何を考え、どう動くだろう?」と自問しながら物語を紡いでいく。そこに、リアリティに基づく重厚さが生まれる。
逆に、(宮崎駿)ジブリには、まず1枚の絵がある。1人の天才の頭の中にある1枚の美しい絵を完成させる為に、秀才集団が逆算的に物語をつけ、その過程の中でテーマが生まれていく。最も芸術作品に近い作り方だ。
そう考えた時、本作は、「まずはテーマがあり」「次に物語があり」「後付けとして設定がある」という、制作過程を感じる。実にアニメ的だと思う。
別にその制作過程が悪いわけではなく、「であるならば、テーマが斬新だったり、物語がめちゃくちゃ面白くなくてはいけない」のに、本作は「そうでもない」ことが問題で。結果、設定面の粗ばかりが目立ってしまったように思う。
理系に疎く、興味も薄い文系人間の私的には、レギオンや86の存在がどうこうということは結構どうでもよくて、その状況下における人の心の動きが気になった。
まず、86の面々が高尚すぎる。
あれだけ非人道的かつ絶望的な状況下におかれた少年少女が、「あんな白豚と一緒になりたくない」という一心で、戦場に立ち続けられるだろうか。しかも、特に監視(あの耳のやつがどれだけ効力があるかは不明)や逃亡防止措置(よくある首輪が爆発する的なやつ)もない環境で。私なら、物質もってめっちゃ逃げるか、レギオン素通りさせて共和国を倒した後に、どこかで村でも作って暮らすかな。
恩赦にしても、それを与える気がないことが周知の事実なら、86の戦意がもつわけないし、反逆の種になる。恩赦を与えて、共和国内に86が帰還するのがマズイなら、共和国外にインフラや食料を共和国が100%負担する街(桃源郷)を作り、そこでの平和な生活を保証すれば良い。武器さえ与えなければ、街ぐるみの反乱はないし、そもそも、極少数しかその街には辿り着けないわけだし。
また、あんな状況下で若い男女が共同生活してるのに、小学生みたいな恋愛模様を見せられても説得力がない。
本作は、過酷な戦場のリアルを魅せたいのか、ミリタリー的な格好良さを魅せたいのかが中途半端、、、というより、美味しいとこどりした結果、説得力を欠く作品になっていた。ここが残念で、本来、伝えたいテーマからすれば、前者で推すべきだよなと。
それから、共和国軍人が無能すぎる。
86や機体がどれだけいるかは分からないけど、いずれにせよ重要な「資源」であることに間違いはなく、それを無駄に消費してどうするんだろう。レギオンが増産されていることや、2年で停止しない可能性は、報告として上がっているはずだ。普通なら、「資源」を効率的に運用し、まずは敵の殲滅を最優先にするはず。
もちろん、86という非人道的な政策(レギオンの前例があるから、無人兵器を作ると帝国の二の舞になる恐れがあり、さりとて自分達は戦場に立ちたくないのは分かるが)をとったために、政府としては86とレギオンが相討ちしてくれるのが理想的なんだろうと思うけど、だったら、前述の首輪みたいなのつけといて、レギオン殲滅と同時に爆発させ、86を全滅させれば良い。ここまで非人道的な政策を取れるなら、そんぐらいやるでしょ。
この辺の「人の心の動き」が不自然だったし、主人公であるレーナがお花畑過ぎて。
レーナは、スピアヘッドらと関わるなかで、これまでに書いてきたような情報を得たわけだから、その情報を生かし、論理的な脅迫を使いながら共和国から譲歩を引き出せれば良かった。例えば、前述した「桃源郷計画」も共和国軍人には「奴ら(86)に甘い夢を見せて、死ぬ気で戦わせましょう。どうせ、いつかは処分するんですから」と言い、86には「ごめんなさい、私の力ではこれが精一杯だったの」みたいな、二枚舌を使い分けて。
8話以降の、友人を脅して援護射撃を行わせたり、こっそり花火を送ったり。ああいうのがもっと観たかったかな。「異なる戦場で戦う戦友」を目指すなら。
と、やたらめったらに批判していますが、あくまで評価は☆4(高評価)ですし、各話評価もずらっと☆4が並び(つまり毎週楽しめた)、9話には☆5をつけた。
それは、「これまで批判したことが気にならないくらい、作画や演出がよく、単純なエンタメ作品として楽しく観られた」から。
ようは、ハリウッドのアクション超大作をみているようなもんで、雰囲気に流された者勝ちなんですよね、エンタメは(笑)
また、二期を前提にしているなら、このダメな部分が伏線であり、二期で鮮やかに回収してくれるかもしれませんし。
さて、ということで、ラストの11話は2期前提のものでしたね。2期は、
①シン達が全員生き残っていて、なんらかの形でレーナや新生86と共闘してレギオンを倒す。
②シン達がレギオンになっていて、レーナや新生86と対決。しかし、最後はシン達の意識が残っていてレギオンに反旗を翻して共闘し、レーナがシンにトドメをさす。
③シン達は帝国の生き残りに助けられており、残党軍に加わってレギオンを倒す。最後、新生帝国と共和国の和平交渉において、レーナと逆の立場で対峙(協力)する。
④シン達は単純に死に、レギオンにはならず、その思いだけを引き継いだレーナ達により、共和国は守られる。
などのパターンがあり、まあ、①が本命で、②が対抗。③が大穴といったところでしょうか。個人的には①のような安易な展開が好きです(笑)
{/netabare}
【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
誰も死なない戦争ね。やりたいテーマは分かるけど、感情を持ち、死を恐怖し、嫌みを言うAIが必要か? それだけ高性能なのに、人間の判断が必要かという点は、戦術面、人件費面でも疑問。てか、人間モドキって、人型AI?
2話目 ☆4
なるほどね、AIではなく、人間か。つまり、人種差別や代理戦争がテーマなのね。
3話目 ☆4
平和な日常は、更なる悲劇への序章。だよね。さて、シリアスでどこまでまとめきれるか。呼んだことないだろ。ド正論だな。
4話目 ☆4
人間の脳のコピー。
5話目 ☆4
ガチガチの悪口。まあ、悪口盛り上がるよね(笑) ダイヤが死ぬ未来しか見えないな。だよな。
6話目 ☆4
それぞれの戦い。花火のような生き方。死ぬための舞台。明日死ぬからって、今日首吊る奴はいない。物凄い覚悟の決め方だな。
7話目 ☆4
友人のブチ切れ。叔父さんのブチ切れ。自由や平等は人類には早すぎる、永遠に。音楽の力は強いな。
8話目 ☆4
9話目 ☆5
良い最終回だな(笑) 強かになったな。余韻がある。本当に、ここで最終話でも良いくらいに。
10話目 ☆4
生き延びる日数。戦争がなければ会ってない仲間。
11話目 ☆4
学校。もろ日本だな。完全に、二期前提で作ってるアニメだな。
12話☆2
総集編。なんか新展開が少しでもあるかと一応、このレビュー書きながら流してた(笑)けど、最後に「二期決定」を知らせるだけかい。
{/netabare}