RFC さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
やればできる!1クールで感情移入
原作未読。
なんとなく視聴開始。
【作品概要】
無人戦闘機械レギオンを投入し、周辺の小国に
宣戦布告した大国ギアーテ。
宣戦布告を受けた小国サンマグノリアは
今日も平和な日常が続いていました。
無人機ジャガーノートでレギオンの進行を
食い止めていたためですが、
ジャガーノートは本当の無人機ではなく、
法的に人権をはく奪された
86と呼ばれる人間が搭乗していました。
サンマグノリアの大勢は、86を人間とみなしていません。
86は戦死しても人間が死んだとはカウントされません。
しかしサンマグノリア軍の少佐ミリーゼは86を人間とみなし
サンマグノリアの歪んだ思想に異議を呈していました。
物語はミリーゼが86の精鋭部隊スピアヘッドの
後方指揮官として、着任するところから始まります。
【作品に対する感想】
思ったより3倍良かったと思います。濃密な1クールでした。
A-1さんといえば、直近のシグルリではかなり
残念だっただけに、ギャップが凄かったです。
シグルリのレビューでキャラに感情移入するには
時間が足りないって書きましたが、
今作では見事にそれをやってのけました。
設定としてはコードギアス亡国のアキトとマブラヴを
足して2で割った感じですかね。
かなりえぐい設定です。
不条理に人が簡単に死ぬハードな世界観は、
物語としては肯定的に捉えてました。
正しくても大勢に抗うことがどれだけ大変かというのは
誰もが知るところなんですけど、こういった
不条理な矛盾に抗う物語は嫌いではありません。
物語(特にスピアヘッドの面々)を通して、
生きるって何だろうって思ってしまいます。
2期が決まったようですが、
どんな物語が紡がれるのか期待されます。
1)物語
割と淡々と描かれてます。
逆にそういう覚悟、心情でいないと、
生きてられないくらいの環境なんだと感じました。
理想と現実、本音と建前、表と裏…
サンマグノリア、ミリーゼとスピアヘッド隊の
立ち位置が対照的で、たびたび衝突やズレの原因に
なってるのが上手いですね。
悪意はないにしろ、
ミリーゼの発言が時々地雷踏み抜いてます。
上っ面では繋がった気分でも
おかれた環境が「死の隣」と「塀の向こうの安全地帯」では
本当に解り合うのは不可能。
前線と管理者って、昔からある対立構造なんですけど、
どっちが欠けてもダメと思うんですよね。
管理は大まかな方向を示すもので、
個々のケースとは齟齬が生じます。
かといって管理を放棄すると、集団の方向性は失われ、
規模の力も失われます。
救いのない中で何を見出すか。
救いって結局他人任せ。
なら自分で意味を見出せたらそれで納得。
たとえ待つのが死でも折り合いをつける。
重かったです。
自分が開発した兵器に滅亡させられる国って…
FF15みたいですね。
2)作画
戦闘の作画は劇場版かと思う程はすさまじいです。
また、甲殻類を想させる多脚戦車
レギオン、ジャガーノート共にかっこいいですね。
ジャガーノートの外装をナイフで切り取ってるシーンが時々
出てきますが、搭乗者を守る気がないことが伝わってきます。
TVモニタのモンタージュみたいなシン兄の演出怖すぎです。
5)キャラ
1クールで沢山のキャラが登場したにもかかわらず
死んでほしくないと思えるキャラがたくさんいました。
➀ミリーゼ
今のこの状況はこの娘が作ったものでもないし、
責められる理由もないんですけど、
大勢に抗うことで全員を敵に回す羽目になった娘。
並の精神では折れてしまいそうなものですが、
さらに踏み込んだこの娘はすごいと思います。
所詮は理想論と断じるのは簡単ですが、
理想がないというのは停滞を肯定し、
改善を放棄することと思います。
➁シン(アンダーテイカー)
感情の起伏が異常少ない隊長。
こうしてないとやってられない過酷な環境なんでしょう。
{netabare}
ただ最後、彼は自殺しなかったのはなぜ?
それを示唆する描写もえぐかったです。
{/netabare}
➂カイエ
戦場ではいい奴から死んでいく。orz
➃ライデン
こ奴の存在、隊のみんなの支えになってましたよね。
ミリーゼに対しても客観的な立ち位置から
冷静に話してたのが好印象でした。
➄アンジュ
過去に何があったか、想像することしかできませんが、
よくこの穏やかな性格を維持できたなと敬意を表します。
水浴びのシーンでみんな着衣だったのは
気遣いだったのかなと後で思いました。
もちろん即応可能だっていうのもあるんでしょうけど。
6)印象深いシーン
{netabare}
➀ミリーゼ 全員にそっぽ向かれる
視聴しててホントきつかったです。
ミリーゼの理想論はだれも動かすことはできませんでした。
むしろ彼女の言動はどうしようもない
絶望感を思い出させることしか出来なかったんでしょう。
もう積みやん。
しかしミリーゼはそれに屈することなく、
「正しいやり方」という枷を外して
なりふり構わずで事に当たります。
ここで本当にスピアヘッドの面々と
同じ土俵に立ったんだと感じました。
➁自由を勝ち取った結果…
補給もなく未開の地に行くというのは
半分死にに行くようなもの。
彼らもそのまま死ぬと分かっていて
最後の自由を満喫している印象です。
死んだら意味ない…。
確かにそうなんですけど、
早いか遅いかだけで人はみんな死にますからね。
最後の数日だけでも自分で選んで生きたって
そういう納得の仕方をしたのかなと感じました。
➂ファイド視点の映像劇
この演出凄かったです。
こんな補完の仕方もあるんや…って。
仲間に見せられない姿が映ってて、
特にアンジュのは胸にくるものがありました。
{/netabare}