栞織 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
渋いいぶし銀の世界 スペイン圏の話
1はまったく見ていないのですが、「あしたのジョー」は知っているので、この2を見ることにしました。はじめは「ん?」だったんですが、見ているうちに非常に引き込まれてしまいました。もうこれは「ジョー」ではなくて、スペイン映画です。アメリカ中南部を舞台にしたスペイン映画。それもいぶし銀の世界。ロードムービーそのもので。各話感想なんとか最後までしてみたいと思いました。しかしまさか「ジョー」でこんな話を作ってしまうとは。企画とかすごいと思います。
第一話 {netabare}
1を見ていないので、はっきり事情はわからないんですが、本家「あしたのジョー2」の出だし部分をやっているんですかね?ジョーは本家では力石の死がショックでリングで戦えなくなっているという話でしたが、ここでは薬中になっているという設定です。睡眠薬中毒ですかね。ユーリという男と対戦して勝ったらしいですが、そのあたりよくわからないので、とにかく今は「ノマド」と名乗ってドサ周りで放浪を続けているという事しかわからない・・・・。本家ジョーに出て来た丹下段平おっちゃんは死んでいるんですかねぇ?ロードムービーの雰囲気がすごいので、その世界に浸る感じで見ていました。作画とか昔のアニメ調にしているのは、CGを使っているんでしょうか?質感とか昔風になっているので、他の今のアニメとまったく違うなあという感じであります。EDのスペイン語のバラードが渋すぎる。{/netabare}
第二話 {netabare}
廃園の遊園地跡で暮らす移民村に身を寄せたジョー、そこでチーフという男と知り合います。このチーフがまたいい男なんですね。このあたりの脚本は、ほんと昔の!渡世人のドラマによくあるやつで、この展開わかるわかるって感じで見ていました。移民村の立ち退き問題があって、今後どう興業するのか気になるところでした。子供のキャラとか出て来て、本家「ジョー」の感じも出していて、非常にいい感じであります。ジョーが今後どうなっていくかとても気になる。ラストは本家であるように、リング上で死んでしまうのでしょうか?そして死んだ野良犬を埋葬してやるあたり、ジョーが優しい人間だとわかる演出でありました。 {/netabare}
第三話 {netabare}
作画がすごいですねもう。今風のタッチではなくて、しかしデッサンの狂いがまったくない絵。どうしてこうも続けて描けるんでしょうか。作画の方がすごいとしか言いようがない。話はジョーがヒゲを剃って、チーフのセコンドをするという話。地味なんですが、チーフの亡くした妻の話とか、淡々と語られます。そしてジョーのかつてのセコンドだった丹下段平に当たるキャラが、ずっと死霊としてジョーに対話してくるんですが、なんでジョーに鎮痛剤を飲めとか言っちゃうんでしょうか?段平とは別人格の持ち主なんでしょうか?一期での死に方を早く見ないとな・・・・。 {/netabare}
第四話 {netabare}
まさかのチーフの死!そんないきなり死んでいたとか、ラストでびっくりしました。それまでKO勝で今後もこれで行くのかなと思って見ていましたからね。それで墓地の場面が前半に長く出ていたのか・・・。話がほんと映画を見ているみたいで、安定して見られますね。悪役の描写にも人間味があります。ちば先生らしい感じがする。ジョーは移民村を後にしましたが、立ち退き問題は一応の決着はついたのでしょうか。ところでヒッチハイクに出た子供が言われたツレションは、やばい意味でのことなんでしょうか?なんとなくそれかなと思いましたね・・・・。 {/netabare}
第五話 {netabare}
亡くなった南部のおっちゃんの闘病生活の頃の回想話です。このあたりの話は謎なので、回想シーンはありがたかったですが、経緯がわかっていないから今一つわからない・・・・。早く一期のものを最後まで見ないとなあ。おぼろげにわかった事は、ジョーが試合に出るための練習を続けたりしていたので、おっちゃんのお見舞いには行かなかったということです。しかしサチオとの行き違いの理由はそれだけなのでしょうか?そして、ジョーが番外地を後にした理由は?五年間も帰ってこなかったんですよね。サチオが成長した今、ボクサーとしてリングにあがっている事も、不安材料となるような描写でした。作画とか回想場面では懐かしの白黒画面になったりして、あいかわらずオールドファンにやさしく、しかし作画ミスは少ない画面には安心しますが・・・。一期の上り調子とは違って、悲しい話が多いのが二期で、やはりもう少し明るい話も見てみたく思います。台風の洪水で番外地のスタジオが流れた話も、おととしの全国各地の台風被害を思い出して、それも重い現実だったです。 {/netabare}
第六話 {netabare}
前回の続きで、サチオの仲間のボンジリがヤクザに店の権利書を持って行かれて店も破壊されてしまい、ジョーが権利書を取り戻すために八百長試合で負けるという話。暗かったです。回想場面で南部のおっちゃんが死んだ時の模様が出てきましたが、ジョーが試合ばかりしていたから、おっちゃんのお葬式でもサチオに拒否されたのか?そのあたりの事情が今ひとつつかめませんでした。見舞いに来なかったというだけの理由なんでしょうか。もしそうなら、サチオたちがあまりにも狭量だと思います。なぜならジムを存続させるには、ジョーが試合で勝たなければならないからです。それも負けていたりする。ジョーが一人で背負っているものが多すぎて、見ていてつらかったです。しかし店のエピソードではヤクザたちが本当に憎々しかったですね。サチオたちも今ひとつ愛すべき仲間に見えていないのが、痛いです。 {/netabare}
第七話{netabare}
いきなり前回までの話と違ったトーンで、一期に出て来た勇利たちの再登場です。この話ではじめて見たマック選手とのいきさつがよくわからない・・・・一期早く見ないとと思うのですが・・・・・。マック選手が事故から手術でよみがえった話は、故・出崎監督のやられたOVAの「ブラックジャック」シリーズみたいでした。手術した医師も心なしか手塚治虫氏の顔と似ていましたね。こういった社会時事ネタは、現在進行形で世の中でも進められている動きなのではと思います。そういう情報がアニメ作品ではよく先取りして出されることがあるんですね。しかしもしこういった手術が実現したら夢のようだと思いました。
ジョーとリュウとの練習風景も、一期を最後まで見ていないのでよくわからなかったですが、ジョーがだんだん復帰してきている描写なのはうれしかったです。サチオたちも前回の話よりかは、ジョーに寄り添ってきている感じでした。この回は全体的に明るい話になっていたので、よかったと思いました。それではまた次回。 {/netabare}
第八話 {netabare}
いい話のあとは必ずダウンするのが当シリーズのようです。でも言っても仕方がないですね、医療関係は夢のような話があっても、後遺症とかつきもので、そうそううまい話はない・・・。しかしこう何度もこういうパターンが続くと、現実ってこんなものでしかないと上から大人のおじさんたちに説教されているみたいで、悲しくなります。
気を取り直して、話としては「あしたのジョー2」のラストのホセ・メンドーサがマックスということで話が進んでいるのだと思います。要するにパンチドランカーのあの話が、マックスが脳チップにより廃人化が進んでいるというあの話なわけです。しかし、当シリーズの冒頭でジャンキー気味だったジョーは立ち直り、その騒動からは遠い存在です。そこが「ジョー2」とはまったく違うところで、見ていてなんとなく不愉快な印象がありました。今回大手術を受けることになったリュウ選手も、そのようなパンチドランカー話で出されているキャラです。このキャラは「ジョー2」のカーロス・リベラあたりでしょうか。
もちろんジョーも廃ジムの立て直しで苦労しているというのはわかりますよ。しかし、元の「ジョー2」とは主人公の立ち位置が違いすぎる・・・。もしこの先ジョーがマックスと対戦することになったとしても、マックスの負けは確定ではないですか?あんなに廃人化が進んでいるマックスは、おそらく最終戦では戦えなくなるのは目に見えてます。その、廃人化が進んだマックスをジョーがたたきのめすところに、爽快感はあるのでしょうか?「ジョー2」の、己れのすべてを賭けて戦ったジョーの潔さはあるのでしょうか?本シリーズにはじめて疑念が湧いてきた今回でした。あの名作の「ジョー2」の名を汚すことのないようにしてほしいです。あ、今思いついたのですが、ジャンキーの時の薬の後遺症で、その、ジョーがパンチドランカーみたいになるというパターンは絶対にやめていただきたい。と言っても、今にもそうなりそうなんですねこれが・・・。{/netabare}
第九話 {netabare}
前回よりも少しトーンが柔らかだった今回です。絵本を朗読する場面があったりして、そこはなごみましたね。ただあの医者の人が、かなり無責任で見ていてなんか腹が立ったというか、白都雪子さんも扱いには困っていたみたいでしたね。脳チップの軍事転用ですか。ありえる話で、むしろボクサーから実用化するという話の方が珍しいと思います。
ジョーがいよいよ復帰してしまうかというところでEDでしたが、マックも今回は取り乱した場面がなかったので、落ち着いて見ていられました。ただこのままでは終わらないだろうし、実際朗読絵本の内容も、旅人が死のうとしているという設定だったのでそれを暗示していましたね。マックの息子も何か手術跡が体にあったりして、そんなに幸福な家族でもなさそうなのが印象的でした。対するジョーの方は、なんとなくなぜその「番外地」というジムの存続が大事なのか、はたから見ていたらちょっとその熱意が不可解で、なかなか感情移入ができなかったです。サチオたちの仲間の子供も、わりと現実的な子供たちばかりで、あまり好感が持てる感じではありません。台風が今回はあまり被害が出なかったのだけが幸いでした。そうは言っても、墓地にお参りをする場面では、昔見た映画の「黒いオルフェ」の場面とか思い出して、懐かしかったですけど。それではまた次回。 {/netabare}
第十話{netabare}
全体的に男の意地の見せ場という以外、特に言うべき事はなかったです。青年劇画によくある手法なので、ああそれかという感じでしたね。男たちが自分の信条を熱く語り合う、それについては女の私がコメントするべきではないです。男の花道ですから。これはそうした作品なので、それが出てくるのが当然と言ったところでしょう。しかし思ったとおりマックはジョーといきなりマッチが組まれて最終回にまで進むというところでしたね。ジョーがジャンキーでもしかして調子を崩しているのでは、という危惧も当たらなければいいのですがね。サチオはしかし、ほんと殴られ損みたいな役回りですね。ジョーはサチオが見舞いに来なかったと言っていたのに、ちゃっかり試合前に生前の南部と会っていた描写がありました。サチオの気持ちが空回りしていて、とても見ていてかわいそうです。 {/netabare}
第十一話 {netabare}
今回は前回よりかはシナリオはよかったと思います。まずチーフとの回想話から入って、ジョーがジャンキーの後遺症を持っていることなどの話が説明され、番外地でのささやかなパーティと、話がわかりやすくつながっていました。ただチーフのギアが体格の違うジョーの体にぴったり合うのかとは思いましたが。対してマックの方は、あの医者に詰めよる話の展開がよくわかり、家族たちのつらい立場もわかって、気の毒だったです。奥さんは白都の使者の女性にはわざと強がって夫のマックの真実の症状を言わなかったり、ありえる話だなあと思いました。奥さんは息子のミゲルを手術してもらう事の引き換えに、マックの脳チップの実験体の話を承諾したという事でしょうか。ミゲルとマックの親子げんかの場面がなんとも心に痛いシーンでした。この作品はあと2話ぐらいで、普通にエンディングを迎えると思います。視聴の途中でいろいろ落ち込んだり、気をもんだ事もありましたが、どちらが勝つにせよ、きちんとしたラストになりそうです。 {/netabare}
第十二話 {netabare}
試合前の両陣営の様子が描かれた回。マックは不安から街をさまよい、酒浸りになりますが、昔の消防士?時代の同僚で今は警官になっている男と会い、今までのいきさつを回想し、また家に戻ることにします。その頃マックの医師の秘書は、脳チップの危険性の論文を発表した男のいる大学に向かいます。ジョーたちはチーフのギアを調整し、試合に臨みます。
マックの過去シーンが気の毒で、スタッフがジョーよりもマックに比重がかかっている感じがしました。マックの医師はあいかわらずで、顔が手塚先生に似ているのが見ていて非常に気になります。手塚先生のアニメ界への功罪は、宮崎監督が言われるまでもなく、当時影で言われていたことで、手塚先生の手掛けたアニメ作品が古い稚拙だとは当時言われていた事でした。この作品では最新の医療技術テクノロジーを駆使するという設定の医者と似ていますが、何か現在の業界裏事情が関与しているのでしょうか。気になりました。それ以外は特に言うべき事もなく、普通のテレビシリーズとしての責務を果たしていると思います。作画も今回も丁寧でしたです。シナリオも最終回に向けてよかったと思います。次回でたぶん最終回だと思います。 {/netabare}
第十三話(最終話) {netabare}
完走できてうれしかったです。久しぶりに往年の作品のようなアニメシリーズを最後まで見られたという喜びに浸ることができました。
まずジョーとマックの試合ですが、コークスクリューパンチのようなカットがあったのは、昔のシリーズを知っているファンへのサービスでしょうか。懐かしかったです、というかここまで出さなかったのはこの最終話のため?試合については、いろいろ二人とも懸念材料がある試合でしたから、昔のシリーズのような試合中心ではなく、あくまで人間ドラマだった点がこの「メガロボクス」だなという感じでした。タオルを投げるように言ったのが、南部の靈だったというのも、「メガロボクス」ならではで、最終カットでジョーの運転するトラックの荷台に座っていたり、やはり第一シリーズも最後まで見た方がいいのかと今思い直しています。ともあれ両陣営ともハッピーエンドで、肩の力が抜ける展開だったのはほっとしました。今の時代だからなのかなとも思いました。最終話はほんと実写のテレビドラマシリーズのような終わり方でしたね。EDの新曲の歌もよかったです。サチオの門出が、息子を送り出す父親みたいでしたね。
作画的にも私のような往年の作品が好きな人のために描かれていたような気がしました。特に最終話あたりは、作画が本当に丁寧でした。第一シリーズは見ないと言いましたが、夏季はアニメが少なめなので、また時間を作って最後まで見てみたいです。ともあれ、中盤はとても苦しいドラマだったですが、最後にきちんと着地させてくれたスタッフの皆さま本当にお疲れさまでした。 {/netabare}