退会済のユーザー さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
大人と子供の防衛機制
ハイスペイケメンが妹の友達の地味目JKにガチ恋するラブコメ。
一花に助けられたお礼として『キスしてやろうか』と言った亮に対し『気持ち悪い』と本音をこぼした一花。今まで全て受け身の恋愛遍歴しかない亮は、この瞬間人生初の本気の恋に落ちる。
有馬一花(ありま いちか)/そこそこ可愛い程度のザ・普通JK。隠れオタク。
天草亮(あまくさ りょう)/フルスペックスーパーマン。惚れた時点で即身辺整理&禁煙。
天草理緒(あまくさ りお)/亮の妹。亮同様ハイスペだが交友関係は地味。サバサバ系
多丸快(たまる かい)/一花のクラスメイト。一花と趣味が合う。イケメンスポーツマン。
松島有枝(まつしま ありえ)/隠れオタク。趣味が理解されたことで亮に惹かれる。
〜3話
{netabare}『モテモテイケメンが周囲の美女に脇目もふらずに自分のみに熱烈な愛情を注ぐ物語』という女子の妄想テンプレだが、よくあるなろうのDT妄想ハーレムと違ってこの作者はきちんと恋愛経験や社会経験のある人のように思える。もちろんコメディなので『普通こうはならんやろ』と言った展開もあるにはあるが、亮と一花のキャラクターはブレず『こいつがこんなことするわけない』と言った違和感は感じさせない。
社会人とJKのラブコメといえば今期は『髭剃り』もありますが、あれとかこれとかプロの方からすれば完全なファンタジーに見えるらしく『気持ち悪い』『妄想乙』ってことらしいですが、自分にはどうしてそうなるのかよくわからんです。多分これはニワカ向けってことなんでしょう。歳の差ラブコメって作るの難しいんですかね。ニワカの自分には面白いと思うのですがアニメ道はなかなか険しいですね。
作画が優れているわけでもないですが、登場人物の所作は結構細かいと思います。公共の空間ってのがちゃんと描けてる方だと思うので変なストレスは少ないです。というか妄想なろうや萌えアニメにはその辺が必要ないだけですかね。
辛辣な態度でも下品さはなく、年上相手への敬意は怠らない一花。
猛烈ではあるが自分自身ではしっかりラインを引いてる行動&丁寧語の亮。
こんな二人を応援したくなる自分は妄想野郎ってことなんすかね。まあいいけど。37 {/netabare}
4話 聖なる夜に
{netabare} 一花は普段のお礼として亮にクリスマスプレゼントを渡そうと思い立ち理緒に相談。また亮も理緒に一花へのプレゼントを相談する。お互いに理緒に相談していたことを知った二人は、自宅で一人過ごす理緒と一緒にクリスマスを楽しむべくパーティーを企画する。
亮のクズ話もあまりなく普通のラブコメみたいな感じ。田丸のポジションがまだわかりづらい。友達も男いないって場面を出してるのに、理緒が一人で過ごす理由も欲しかったかな。しかし天草兄弟は仲良すぎ。56{/netabare}
第5話 聖地巡礼
{netabare}田丸は修学旅行での自由行動に一花を誘う。一花は亮と田丸を比べてしまう自分を恥じる。
これもう真っ当で王道な普通のラブコメですね。亮のスマートさと田丸の真っ直ぐさに揺れる乙女心ってやつですか。てえてえなあオイ。
そんで一花のオタク設定の使い方も抜群に巧い。範囲の広げ方も自然。亮の同僚も参戦してきて一花が子供の自分と大人の女性を比較して嫉妬したり悩んだりするのでしょうか。いやーたまんないっすね。
作画はちょっと微妙だった。亮のクズエピソードがそろそろ欲しい。74{/netabare}
第6話 片思いって
{netabare}不仲の涼と父親に仲良くなってほしいと理緒。スポーツで活躍し女子の注目を集める田丸。涼のフリーを確認し闘志を燃やす有枝。平常運転な一花と涼。
残念だが涼のクズ話はもう無さそう。しかし10歳下の妹の同級生にガチ恋する亮と、同じ歳の差で相手を子供扱いするヒゲひろの吉田マン。どっちがキモいかっていうと圧倒的に亮。ただ父との確執があるってことでスーパーマンな涼にも欠けた部分があるっぽいことでそのへんはクリア。言い訳大事。様々な女性から的にされてきた亮が有枝の鼻息の荒さに気づかないはずがないが、一花に盛り上がってる状態だからってことでいいかな。
こんな設定でも亮が健気に見えてくるのは完全なコメディだから。亮にも自分を責めたり葛藤したりっていうターンは絶対にあって、それを完全にすっ飛ばす勢いは推し武道レベル。あれと同じく真面目に語られたらキモいだけの部分を潔く全カットしてるから笑って観れる。掘り下げ厨は出番ですよ。掘り下げてないですよこれ。いいんですか。わざとだからいいんですか。掘り下げが足りないっていうのは自分が観たい部分がカットされてるから気に入らないってだけなんでしょう。萌えアニメ以外のストーリーアニメ全てに苦悩葛藤ポルノを期待しても掘り下げが足りるわけはない。初見で誰でも理解できるほどに記号化してそれぞれの役割が決まっている構造ってのは萌えアニメとコメディは作りが似ているんだな。なるほど。106{/netabare}
第7話 推しへの愛
{netabare}フォアワード・ワールド新刊発売日。亮と田丸は火花を散らせ、一花と有枝は推し話で盛り上がる。バレンタインに色めき立つ亮にお悩みの一花は、当日朝に会う約束を取り付ける。
有枝さんもがっちり食い込んでくるみたいですね。高校生男女と大人の男女。恋愛においては一方的にどちらが有利ということもなく、お互いの立場でそれぞれメリットデメリットがある。学園ものと違って全員が顔見知りでもないので距離感も様々。4人になって俄然面白くなってきた。175 {/netabare}
キモい設定なのにサラッと軽く爽やかに魅せるラブコメ。
釣りタイトルのワンアイデア一点突破型、周囲のメインキャラには理解者しかいないやさしいせかいのご都合茶番劇ってのはひげひろ同様。だが女性監督ということもあってか描写が丁寧で、実に気持ちよく見方を誘導してくれる。こちらが求めるものだけを切り取ってテンポよく進み、自然に二人を応援する気にさせてくれる。
散々女性を雑に食い散らかしてきたエリートイケメン主人公が10個下の妹の同級生にガチ恋して身勝手な手段で迷惑顧みずに猛アタックするというわりとキモい設定を、ここまで爽やかラブコメにしてしまう手腕は実にお見事。
もちろんオチは誰でもわかるし凝ったギミックはないし目新しい設定もなければ深いテーマもない。登場人物も少なく相関もかなりシンプル。しかしよほど拗らせて重箱の隅をつつく構えを取りながら観ない限り、素直にキュンキュンさせてくれる。
現在のアニメはいかに感情移入させるかが重要。人数が少ないとはいえ学生と社会人、年齢も立場も違う人物達の、またそれぞれ強度もベクトルも違う思惑を描いておきながらなんとも嫌味がない、違和感を感じさせない見せ方が本当に上手い。各々の立場から見える範囲、こちらが観たい範囲をキレイにトリミングしていく塩梅が絶妙。ここまで丁寧にやれば『感情移入できなああああい』ってことにはならないはず。情報の整理がものすごくラクで、脳内補完の必要がまるでない。後半に入れば亮が凄まじいクズって設定も機能させず、そんなの忘れて健気にすらも見えてくる。このスライド加減も実に上手い。
何も考えずに画面に映るものをただそのまま受けとめるだけでいい。
今のご時世を実によく研究された素晴らしい作品だと思います。
キャラデザが惜しかったかなあ。男女両方取り込めただろうし。
ブヒれる萌えキャラだったら覇権も狙えたと思う。