ゲリオ さんの感想・評価
1.8
物語 : 1.5
作画 : 2.0
声優 : 2.0
音楽 : 2.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
お蔵入りアニメ
最初に言っておくと、本作は量産型アイドル作品ではない。
キービジュアルだけ見たらよくあるB級アイドル作品かな…って勘違いするけれど、ライブパートに代表される通常のアイドル要素は申し訳程度。
ジャンルとしてはSFミステリーやホラーに該当されるだろう。
その辺りは真新しさがあって評価に値することだった……のだが!
肝心なSFストーリーが極めて難解、終盤のシナリオは制作陣もほとんど理解してないと思われるレベル。
よってよい評価を付けることはできないが、単なるクソアニメと一言にしてしまうのには勿体ない側面もあったので、以下それなりのレビューを書きたいと思う。
本作を語る上で触れておかねばならないことは、実は数年間"お蔵入り"していた疑惑のある作品だということ。
主人公を演じた赤尾ひかるさんが「事務所に所属して初めてアフレコしたアニメ」とツイートしてることから少なくとも5年前には収録を終えているということになる。
なぜ長い間作品が封印されていたのか、なぜいまさらになってオンエアに至ったのか、ある意味で本作における最大のミステリーだったのだが、視聴を終えてから思えば何ということはない。単純に世に出せるレベルに達していなかったからだ。でもせっかく作ったからコロナ禍でアニメが作れない今こっそり放送してしまおう…って、つまりはそういうことだったのだろう。
放送を地上波TOKYO MXでやらずにAT-Xや配信だった時点で気づくべきだったか。
最終的には意味不明なクソアニメと判定することになった本作のシナリオ。
しかしながら実は中盤まではどこに向かってるか分からない展開に見入っている自分がいたことも事実。
あいりという見た目普通なのに実はとんでもない闇を抱えたメンヘラ+ガチレズ少女、ドールという非現実的なアンドロイドが何の説明もなくそこにいる風景、世界同時消失というSF全開の世界設定、それら不自然な要素が何ら繋がりもなく散在してるかと思えば、普通のアイドル&演劇活動が主題になったりする。
一体このアニメは、百合なのかSFなのかホラーなのか王道アイドルなのか説明してくれ!と思わず嘆きたくなったものである。
作中のハイライトは第5話のラストシーン。意思を持ち始めたドールがあいりを階段から落とすという衝撃の展開に「キター!」と興奮したのも束の間、全治一ヶ月の軽傷という結果にガッカリした。アイドル物で殺人が起きたら前代未聞の神展開だったのに。
そして気づいたらドールが敵方に渡ってるわ、初回からライバルポジと思われてたいずみが急に捨てられて味方になるわ、これまでギリギリ付いていけてたSFが絡んでないシナリオ部分もクエスチョンマークが浮かび始める。
ラスト3話は「イノベイター」やら「クロノゲイザー」やら意味不明な単語が並び、ついにはお手上げ。クソアニメ乙。
以上、中盤まで目の離せないシナリオに惹かれていたものの、ラスト付近で完全に失望に変わってしまった過程を述べた。
もし、百合&SF&ホラー&アイドルなどなど散りばめられた要素が、綺麗に一つに繋がったなら神アニメになった可能性もあった。
結果論ではそんな力量は最初から持ち得ていなかったわけだが…
まあ、色んな意味で楽しめたから(ラスト3話は時間の無駄だったが)見て損はなかったよ。
クソアニメではあるけれど、最クソアニメではない。そんなところです。おわり。