ゲリオ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
史上最大級の1話ギミック
情報皆無で第1話を視聴したのでラストシーンに衝撃を受けました。
視聴者のミスリードを誘って最後の最後に「実はこういう内容でした」っていうのを明かす作品と言えば、数年前の"がっこうぐらし"というアニメがありましたね。
ただし、そちらの作品はインパクトがあったのは初回だけで、2話以降はつまらない展開が続いた出オチ作だった印象しかないです、正直。
それと比較すると本作は最後まで楽しく視聴できたし全13話通して安定して面白いアニメでした。
はじめに本作の感想はネタバレ抜きに語れない気がするので、ネタバレレビューにします。
まぁ、今から見ようと思う人でこんなレビュー読む人も居ないと思いつつも一応。
自分もそうだったように、1話ギミック系統の作品は事前情報無しで見なければ意味がないと思いますし…
まず第1話、てっきりクラスメートから「無能」と馬鹿にされる主人公ナナオ君が、能力無効化という特殊能力を武器に無双しまくるオレツエー系だと完全に騙されてしまいました。
まさかナナオが主人公ではないどころか、ラストシーンで真・主人公のナナちゃんに殺害されるとは!
タイトルの「無能」は無能力者の意味だというギミックにも引っかかりました。
ナナの「心を読める」能力の設定すら嘘だったとは恐れ入ります。
2話以降はしばらくナナが1人ずつ能力者を暗殺していく話が続きます。
ナナオと2人目の犠牲者こそ悪人ではありませんでしたが、その後は歪んだ思想を持つ能力者がターゲットとなるので、ナナに対しての嫌悪感はほとんど抱きませんでした。
この辺のお話は退屈でこそありませんでしたが、いやいやそれは無茶なのでは…と思うシーンも多々ありました。
奇跡的に運が良くて犯人として特定されなかっただけで何度も詰みかけてたし。
「心を読める」という嘘能力は後々になってネックになったと感じました。
「疲れていると聞こえないときがある」という言い訳は非常に苦しい。
そんな具合に割りとガバガバなアニメなんですが、それはそれで面白ければ全然有りではないかと個人的には思いました。
ガチガチのサスペンスものだったら駄目ですけど本作はエンタメ寄りのサスペンス。
常に綱渡り状態続きでハラハラしたし、毎話の引きもいいところで終わるので次回の視聴意欲を掻き立てられます。
ナナの正体に勘づく裏主役的立場のキョウヤもマストキャラで、彼の能力を不老不死にしたアイデアは素晴らしかったです。
ガバガバなようで考える部分はちゃんと考えてる作品でしたね。
そんな中、犬飼ミチルという少女はストーリー終盤大きな役割を果たしました。
彼女の純真な性格は、能力者を人類の敵としてしか見ていなかったナナの心に変化をもたらすことになりましたが、まさか彼女の悲劇的な死がアニメ最終回を飾ることになるとは予測できませんでした。
お陰で最後までインパクトのある1クールアニメに仕上がったと思いますし、原作未完の本作においてアニメの終着点を付けるならここがベストではないでしょうか。
原作未読の自分に続きも読みたいと感じさせてくれました。
以上、単なる出オチではなく、全話見応えのある良作だったというレビューでした。
10年前だったらかなり話題作になったと思うのですが、アニメ飽和状態の今は単純な面白さだけではブレイクしない時代になっているので歯痒さがあります。
絵柄が若干古かったことは確かに気になってましたが、作画レベル自体は一定のクオリティで最後まで丁寧に仕上げられてました。個人的にはこの古臭いキャラデザが古典的な味わいがあって良かったんですけどね。
第1話の衝撃に始まり、エンタメ有り、サスペンス有り、(突っ込み所有り、)最後にはヒューマンドラマも有り…色々と楽しいアニメに出会えて感謝の気持ちです。
良い作品か駄目な作品かに、円盤の売上云々は関係無いですよ!