タック二階堂 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
名作になり損ねた良作SF。
詳細は公式でも。
リゼロの長月達平氏と、一部脚本を担当した梅原英司氏が共同で原案・シリーズ構成を担当するオリジナルアニメ。制作はWIT STUDIOです。
AIのテーマパークで「歌によって人間を笑顔にする」ことを使命に生み出された初の自律人型AI・ヴィヴィ(ディーヴァ)。そんな彼女のボディ内に100年後の未来からAIデータとして転送されてきたのが、マツモト。テディベアにAIデータを移したマツモトは、100年後にAIの暴走による人間とAIの戦争が起こると言い、それをヴィヴィに止めてほしいと頼みます。
とりあえず初回は、その戦争が起こる要因の一端である、「AI命名法」を推進した下級議員・相川の暗殺を阻止するというミッションでした。
うん、面白いです。
あくまで想像ですが、この作品に注力するためにWITは「進撃ファイナル」の制作をMAPPAに移譲したんじゃないかと思われます。
それぐらい力の入った意欲作。メインヒロインのヴィヴィがCV:種崎敦美さんというのもいいですね。これは期待大の大物です。
=====第3話視聴後、追記です。
{netabare}
いや、これ大きくハネましたねぇ。ちょっと今期では、抜けたトップだと思います。おそらく、この感じなら「ゴジラS.P」とのデッドヒートで行くのでしょうね。3話までなら文句なしで覇権候補筆頭です。
1、2話から15年が経過したという驚かせる展開。冒頭の歴史の分岐がスイッチする演出。サンライズが墜ちて甚大な被害が出るという、ここで笑った人は友達ですというメタな展開(サイド7とかサンライ●とか言うんじゃありません!!)。何もかもが文句のつけようがないストーリー、作画、声優。
これは面白いですね、マジで。
{/netabare}
=====第4話視聴後、追記です。
{netabare}
いやホント、アニメに求めているのはこういうことなんだよなあって思わされる「サンライズ編」完結のお話でした。
自らを犠牲にして、地球とAIの地位を守るエステラ。そんなエステラに寄り添う、記憶を取り戻した双子のエリザベス。そして、宿泊客を救助船で送り出した彼女たちは、不安を取り除くために宇宙の星空を見るように促し、ふたりの歌で送り出す。それを聴きながら、ヴィヴィが「悔しいなぁ」とつぶやく。
脚本が秀逸ですね。なんていうか、子どもの頃にワクワクしながら観た「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」とか「機動戦士ガンダム」とか、そういう感覚がこの作品にはあると思います。
ここまでは完璧な作り。このままいけば、傑作となるのは間違いないと思います。
{/netabare}
=====第6話視聴後、追記です。
{netabare}
佐伯博士とグレイスの結婚編、完結です。
ちょっと今期では3馬身ぐらい突き抜けてる感じですね。今期は冬アニメよりも粒ぞろいで、けっこうな豊作のクールだと思っているのですが、その中でもダントツに完成度の高い作品だと思います。
AIの使命は1体に1つというのが常識だったのを、グレイスがAIとして初めて新たな使命を付与されたという。それを引き起こしたのが前々回のサンライズ編を受けてのことだったという流れ。そして、ヴィヴィが歌で人間を幸せにするというAIシンガーのディーバという使命と、AIを滅ぼすAI・ヴィヴィとして覚悟と自覚が芽生えるという。
いやもう、脚本良し、作画良し、そしてグレイスの暴走を止めに行くときにOPを流したのですが、これがまたハマっていて音楽も良し。種崎敦美さんの鬼気迫った演技と淡々とした福島潤さんのマツモトの演技と声優も良し。
4話がMAXだと思ったら、それを超えてくる回を持ってきますね。もう、このまま突き抜けるんじゃないでしょうか。
{/netabare}
=====第11話視聴後、追記です。
{netabare}
いよいよ話をたたみに来たという感じの前回、今回ですね。
まあ、過去改変の整合性という点が、少し怪しい感じ。たとえば過去が変えられて、松本博士がマツモトを作ったことになっていない感じなのに、なぜかマツモトが存在し、マスターとか言ってるし。
でもまあ、そこは些細なところということで。やっぱりリゼロの長月氏ですね。前回のラストと今回の始めに衝撃的な(おもに殺戮関係)シーンを持ってくるあたり。魔女教によって村が大変なことになっていたシーンを思い出しました。
あと何話? 1話か2話ですかね。まあ、よほどのチョンボがない限り、今期の圧倒的ナンバーワンというのは間違いなさそうです。逆張りして悦に入っている人以外は、異存がないところではないでしょうか。
さて、クライマックスが楽しみですね。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}{netabare}
Vivyは松本博士の身を呈した過去転送によって、AI暴走直後へと戻ります。そこで出合うマツモトとともに、トアクの本部へ行き、まだ戦力が温存されている状態の部隊とともにアーカイブ内部へと向かいます。そして、アーカイブの機能を停止させることに。
そのトリガーとなるのは、Vivyが自分の意志で練り上げてきた歌。しかし、それを歌ってしまうとすべてのAIが動きを止めることに。それはVivyも例外ではないということを意味します。それでも、Vivyの使命は歌でみんなを幸せにすること。自らの命と引換えにVivyは歌います。思い出の、あのステージで。
{/netabare}
という最終話でした。
まあ、そういう落とし所にするのは予想の範囲内でしたし、それが“無難”といえば確かにそうなんですが……。なんていうか、100点満点は付けられないフィナーレだったという視聴後感です。
AIが、そこまで感情豊かなはずないだろというのは的外れな指摘で、それを言うならターミネーターだって、さらに言えば鉄腕アトムにも同じことをツッコまなければならないわけで。そこはむしろ、無機質なAIだったVivyとマツモトが、100年の旅をしていく中で少しずつ自我というものを獲得していく過程は丁寧に描かれており、腑に落ちるものでした。
ラストエピソードまでは、今期No.1はおろか、近年でもトップクラスの名作になると思いながら観てきたのですが、過去改変してきても結局100年後のAI暴走は止められなかったというラストエピソードは、ちょっと何か物足りなさを感じてしまいました。
何が理由かは分からないのですが、なんでしょうね。おそらく「こうなるだろうな」と漠然と頭の中で予想した通りの展開をなぞる形になったからかもしれないですね。いちおう、2度目の過去にタイムリープは予想外を狙ったのだとは思いますが、観ているほうとしては「そりゃ、そうしないと事態は収拾がつかないよね」としか……。
作画も文句なく……とはいかないかも。キャラのアップは凄まじい作画だし、アクションシーンも素晴らしい出来だったと思いますが、それ以外のときに少し気を抜いているのかなということを感じました。それと、100年の旅ということなのに、2061年と2161年の背景がほとんど変わらない。日本だって2021年と1921年では文化とか、施設とか、いろいろ発展していますよね。それが、まったく地続きにしか見えないのが残念だったところ。
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そしてラストのVivyの歌。これ、インストでずっとEDとして流れていた曲なんですが、ここが見せ所という感じでVivyが歌うんです。でもね、それも「当然そうだよね」としか思えないんですね。あきらかにインストのEDっておかしかったし、暴走するAIたちが歌いながら殺戮を行っているんですもん。不気味さを狙ったのでしょうけど、あれはミスだったと思います。Vivyの歌で泣かせる演出がぼやけてしまった。
{/netabare}
というように、こういったAIをモチーフとしたSFモノとしてはターミネーター2など、どこかで見たことがあるようなという設定・展開だと思わせられるのが、名作に一歩届かない良作止まりになってしまった要因だったかなと。ジャンルは違いますが「終末のイゼッタ」を観終わったときと同じような感じ。もう少し何かがあれば名作になったのにという惜しい作品。
とはいえ、序盤から中盤までの面白さは間違いなく上位。そして、今期ではダントツと言っていいほどの作品でした。
{/netabare}
=====総集編視聴後、追記です。
{netabare}
ずるいなあ…
こんな総集編を観せられたら、名作と思わされるじゃないですか…
{/netabare}