フリ-クス さんの感想・評価
4.0
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
序盤のグダグダを乗り越えると、ハマります
実を言うとこの作品、
リアタイで見ていた時は、
4~5話ぐらいで切っちゃってました。
だってさあ……
絵は正直微妙だし、話のテンポはまったりしているし、
そもそも世界観がつかみづらいし、
メインキャラが全員がきんちょで感情移入できないし。
結局、何がやりたいアニメなのかがわかる前に、オクラ入り。
だけど一般的な評価がけっこういいので、
いつか何かの機会に見直そうと思っていました。
で、実にたまたま、丸一日時間ができたので、
ダメモトじゃい、とばかりに全25話を一気見してみました。
そしたら……後半からめっちゃ面白いじゃんっ。
具体的には覚の超おばあちゃんが出てきたあたりからですね。
ようやく村の管理構造とか、
ヒロインたちが何に苦しみ抗っているのかが明確になり、
ふむふむ、それで? と先が気になりだしました。
で、ヒロインの早季がおねいさんになってからは、
何度もコ-ヒ-を入れ替えながら、
画面にかじりつくどハマり状態になっていました。
この頃になると、
作画の粗さも『味のうち』に感じたりして。
最終話のオチはあまりに見え見えだったけれど、
それでも、決してハッピーエンドではない、
問いかけと残尿感たっぷりの締めくくりには大満足です。
一番のキモは、
バケネズミが『被害者』なのは良しとして、
加害者側を一方的に『断罪』できない、というところ。
だって「そうすべき理由」が論理的に成立しちゃているもの。
論理が成立したら何してもいいの?
倫理はどうなるの?
そういう稚拙な正義を振り回すのは楽ちんで気持ちいいけれど、
じゃあ具体的にどうしたら安全が保障されるのかを考えたら、
現実の選択肢はないに等しいわけです。
だから、最後に早季がしたような『ささやかな抵抗』しかできない。
この絶望的な社会システムを隙間なく構成する論理構築は、
さすが貴志祐介氏原作、としか言えないですよね。
世界征服を狙う魔王が……なんてラノベ設定とは比較にもならないです。
あと、種田梨沙さんって、これが初主演なんですよね。
声に表情あるし、三年代の演じ分けもほぼ完璧だし、
ものすごい新人さんだったんだなあとしみじみ思います。
そんなわけでこの作品、僕的には『推し』です。
ただし、押しポイントにたどり着くまでは苦行です。
超おばあちゃんが登場するのが12話だし、
早季おねいさんなんか17話だもんなあ……。
時間とコ-ヒ-をたっぷり用意して、
半信半疑でじっくりご覧になることをお勧めいたします。